210日午後7時のNHKニュースは、アンジェレラ在日米軍司令官が記者会見で、オスプレイの沖縄の基地負担の軽減策として、日本政府が提案している、オスプレイ訓練の半分は沖縄以外も可能という見解に、可能だと表明したと短く伝えた。

 

ニュースの裏にドラマあり。NHKが報じなかった楽屋裏をすこしばかり紹介しよう。

 

 

10日正午前、日比谷のプレスセンターに飛び込んだ。ヤレヤレ、なんとか間に合ったか、と会場へ入ったら、クラブの担当者がなにか説明している。これからアンジェレラ在日米軍司令官の昼食会があるというのに、どうも様子がおかしい。

 

隣りの席の人に、「どうしたのですか?」と聞いたら、「雪でヘリが飛ばないので来られなくなった」という。

 

「えっ、雪で? それはきのうの話でしょ。きょうは快晴だし、電車だってスイスイ走っている。そりゃ、ないでしょう、司令官ドノ」といったわけではないが、ドタキャンの理由に正直アゼンとした。

 

そのうちに司令官は、横田の司令部からスピーチを始めた。その冒頭の通訳を聞いて、またしてもアレレである。「こんな素晴らしい施設の日本記者クラブでまた話ができて光栄です」だと。いくらなんでも、姿も見せずにこういう言い方はないよね。

 

なんのことはない、司令官はスタッフの用意した原稿を棒読みしているのだ。棒読みしたって、そりゃ構わないけれど、読む前に一度くらい目を通すべきでしょう。それでもさいごに、「きょうはお目にかかれなくて残念です」と自分のことばでいったので、ま、よしとするか。

 

スピーチが終わって、司会者から最初の質問があった。「ストレートな質問をしたい」と前置きして、ズバリいったのである。

 

「アメリカ軍は世界で最強の軍隊です。その在日米軍司令官が2日前の雪でわれわれのところへ来れなかった。こういうことでは、果たして有事の際に大丈夫かと思いました。たとえばヘリが使えないならクルマを利用する手もあります。有事の際は、大丈夫ですか」

 

同感である。

 

この辛辣な質問に司令官は、「わたしたちは横田基地の運用に細心の注意を払っています。こちらは記録的な積雪でした。わたしのところの裏庭もずいぶん雪が積もりました。都内にもまだ雪が残っているということで、ヘリの乗員などの安全を第一に考えました。今回は安全を第一にしましたが、有事の際はまちがいなくヘリに乗って行きます」と答えた。

 

司令官は、内心、しまった、と思ったにちがいない。さいごに、「最初の質問がいちばんむつかしかった」と正直に感想を漏らしていた。善良な人なのだろう。

 

ほかの質問で興味深かったのは、「もし中国軍が尖閣に上陸し、自衛隊が排除にかかったとき、米軍はどうしますか」というもの。

 

質問者も、司令官がこういう問いにはとても答えられないのを知っている。そこで、質問者は、「そのとき、米軍がどう動くかを説明しておけば、それが抑止力になる」と付言。これを伝える司会者は、「作戦を明かすことになるので、答えられないでしょうが」と付け足した。

 

当然、司令官は、まっとうな答えはしない。この質問の前に司令官は、中国の圧力外交というものを批判し、中国と平和を共有できるようにしたいとあたりさわりのないことを述べていた。微妙なところだが、強いていえば、中国との平和共存によりウエートが感じられた。

 

 

司令官は、この答えと同じことを述べて、きわどい質問の返答とした。

 

それでもこの質問のどこが興味深かったかといえば、司令官の返答ではなく、質問する側の心理である。

 

質問者も司会者もおそらく発言のニュアンスからして、「中国軍が尖閣に上陸し自衛隊が排除にかかったとき、米軍は出動するだろう」という前提に立っているはずだ。日本人の大方がそうだと思う。

 

賢明な司令官は、そこを見透かし、フンと思ったのではあるまいか。たぶん、内心では、「抑止力? 皆さんはなにを考えているのですか」とも思ったはず。米中の間柄を考慮しない、抑止力という発想に司令官はなんたる甘ちゃんと、苛立ったのではないか。

 

はっきりいって、有事の際、米軍が尖閣にむかう確率は五分五分であろう。そのことを考えもしない日本人ジャーナリストに、「大丈夫ですか、平和ボケの皆さん」と、逆に在日米軍司令官のほうが心配しているかもしれない。

 

 

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〔フォトタイム〕

 

阪急メンズ東京その1

有楽町のマリオンと隣接する阪急メンズ東京。一度も入ったことはありませんが、気になるところです。