強風というのは、家のなかにいても、その音が不気味だ。いわんや、外へ出ると、吹き飛ばされそうで、まったくかなわない。

 

大通りの真ん中に革の手袋が落ちている。ふつうなら、まずあり得ない光景。どこから飛んできたのか、これもまた、なんとなく不気味だ。

 

帽子なら納得するのだが、手袋というのがわからない。だれかが、面白半分に空に向かって放り投げたのだろうか。まさか、そんなことはあるまい。

 

列車や電車はことのほか強風に弱い。だから風の強い日、鉄橋をわたる電車に乗っていると、身構えたものだ。

 

ボート屋さんは、どうしているのだろう。こんな日でも、ボートを楽しむ人がいるのだろうか。

 

毎日、ジョギングや散歩を欠かさない人は、こういうときでも、ちゃんと決まった時間に外へ出るのだろうか。

 

「たかが、これしきの風で」という人もいるだろうし、「なにも、好き好んで、こんな風の日に出かけることもあるまい」と思っている人もいるだろう。

 

そうこうしているうちに、331日もだんだん暮れていく。あすは、41日。あっという間に3か月が経ってしまった。もう強風なみの速さだ。

 

〔フォトタイム〕

 

工事中の歌舞伎座その6

楽屋の入り口は昭和通りに面していて、ここから役者さんらは出入りしていました。