国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)で企画展示されている「武士とはなにか」が面白い(12月26日まで)。
織田信長像、武田勝頼軍役宛行状、御成敗式目、豊臣秀吉朱印状、川中島合戦図屏風、陣羽織、徳川慶喜像など約220点。
このなかから「江戸幕臣出世双六」を紹介しよう。
幕臣というのは、江戸時代の官僚。この出世双六、どちらかといえば下町の江戸っ子たちより、旗本屋敷の子どもたちの遊びだったのだろう。
出世双六で興味深いのは、それぞれのポストに付け届けの数が出ている点。ひと目で役得がわかるようになっている。
いちばん付け届けが多いのは、大老でも老中でもなく、若年寄と側役・奏者番。なぜか。カタログによれば、若年寄は旗本全体の人事権を掌握していたのだという。また、側役・奏者番は将軍のそばにいて実権を振るっていたからだという。
このへんの機微は、古今東西、どこでもだいたい同じようである。
当節の草食系の若者は、出世にあまり関心がないというが、江戸時代も後期になると、役職に就きたがらない者や、せっかくポストを与えられたのに辞めたがる旗本もいたという。
それにしても、旗本の子どもたちは、こういう双六を通してワイロなどの知識を身につけていったのだろうか。
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〔フォトタイム〕
晴海トリトンその2
これが晴海トリトンの正面で、エスカレーターでビルの入り口へと向かっていきます。
コメント
コメント一覧 (4)
『士(特別な学問や技術、能力、資格などを身に備えて並みの人では一寸出来ないような事を遣って退ける地位や身分が付与され尊敬に値する人物)』は、一般的に『上士(道徳を重んじて名声を好まず己れの行為の恥を知り、四方に使いをしても君命を辱しめることのない功名のある人)』と『中士(功名を重んじて一族からは孝行だと言われ且つ生まれ育った区域の仲間からは年長者に対して従順だと言われる名声のある人)』または『下士(名声を知らず高い地位や身分は然程の役には立たないが言葉を重んじ、言う事は必ず信用でき、行う事は必ず結果を出すような脛脛然たる人)』などの三等級に分類できるが、仮令、政治に従事しても『富貴(金持ちで且つ地位や身分が高いこと)』を重んじて士の真似をしても約束ができない又は約束事を守れないような斗肖の人は士に数えないのは古来普遍的な常識だと、私は思量します。
> いちばん付け届けが多いのは、大老でも老中でもなく、若年寄と側役・奏者番。なぜか。カタログによれば、若年寄は旗本全体の人事権を掌握していたのだという。また、側役・奏者番は将軍のそばにいて実権を振るっていたからだという。<
ということは、若年寄と側役・奏者番は『斗肖の人(富貴を重んじて士を真似て約束をしても約束事を守れない人)』の役職だったのでしょうか…。
> 当節の草食系の若者は、出世にあまり関心がないというが、江戸時代も後期になると、役職に就きたがらない者や、せっかくポストを与えられたのに辞めたがる旗本もいたという。<
江戸時代の末期においては『斗肖の人』に嫌気が差して『志士(国家・社会のために献身しようとする高い志を持った人)』に転向舌のでしょうか…。
子母澤寛の小説「親子鷹」
などを思い浮かべますね
幕臣の出世が良く描かれている
「氷川清話」と合わせて読めばより
理解できる、そう思いますね
すみません。勉強不足で、よくわかりません。
「氷川清話」、面白いですね。