島に住む女性がなかなか強いことで知られる韓国の済州島が、医療観光の一大拠点になるべく、準備がすすめられているというのは、初耳だった。

 

昨夕の日本経済新聞の「社会保障ウオッチ」という欄に、<注目される韓国の「医療観光」>という記事があった。

 

高度な医療設備を整え、外国から富裕層を呼び込もうという試みは、インドなどですでに実施されている。自分の命を救うためには、この世に金に糸目をつけない人たちはゴマンといるので、医療観光(メディカルツーリズム)は、世界的に注目され、わが国でも観光振興策の検討課題のひとつになっている。

 

日経記事によれば、<韓国の済州島を北東アジアにおける観光や健康の一大拠点にすべく、大規模な開発がすすみつつある。その目玉のひとつが高度な医療や検査ができる医療機関を設立し、海外から療養や保養に来る人を集める構想。このために大胆な規制緩和も実施する>とか。

 

注目したいのは、済州島の自治政府へ大きな裁量権を与える点。たとえば、株式会社の営利病院の設立を認めるとか、外国語表記の診断書も可能にするとか、いくつかの規制の見直しをすすめる。このようにして済州島に、先進的な検診センターや医療機関を誘致し、最終的には医療関連研究機関もあつめて、2015年ごろの完成をめざすという。

 

ただ、病院の規制緩和には、難点もある。富裕層を対象とした病院は、当然、医師の報酬も高くなるので、優秀な医師を吸い寄せてしまう。あるいは、いまでも大都市と地方の医療格差が問題なのに、さらに格差を広げてしまうであろう。

 

ただ、いろいろ問題はあるにしても、医療観光そのものを完全否定してはいけないと思う。医療を産業としてとらえた場合、医療観光の将来性は、無視できない。そういう意味では、済州島に一歩先んじられたという感じであるが、まあ急ぐこともあるまい。いずれにしても、済州島の医療観光の成り行きに注目していきたい。

 

〔フォトタイム〕

 

深川不動堂その7

裏手に「成田山」の看板がある大きな門がありました。