高橋洋一氏といえば、小泉政権の中枢にいた竹中平蔵元総務相のブレーンだった元財務官僚。その高橋氏は、自著『さらば財務省!――官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社、2008年)の終章で、つぎのように述べている。

 

<知名度を高めた竹中さんは慶応義塾大学に戻り、今や引っ張りだこの多忙な日々を送っている。かたや私は、安倍政権に残り、最後は追われて永田町・霞が関には居場所がなくなった。竹中さんはうまく立ち回り、私は貧乏くじを引かされたと思われる方がいらっしゃるかもしれない。

しかし、それはまったく違う。

竹中さんは有名になったかわりに失ったものも大きかった。有名税といってしまえばそれまでだが、今でも町を一人で歩けない。五年半にわたった閣僚時代もまるで自由がなかった>

 

そう書いた高橋氏だが、じつはすでにご自分も有名になっていた。永田町・霞が関に居場所がなくなった高橋氏は、東洋大学教授として、メディアの場で注目される論客になった。その人が、窃盗容疑で書類送検されたのである。産経新聞3月31日付朝刊は、つぎのように報じている。

 

<日帰り温泉施設の脱衣所で財布や腕時計を盗んだとして、警視庁練馬署は30日、窃盗の疑いで元財務官僚で東洋大の高橋洋一教授(53)=東京都板橋区=を書類送検した>

 

<同署の調べによると、高橋教授は24日午後8時ごろ、東京都練馬区の「豊島園 庭の湯」の脱衣所で、ロッカーから区内に住む男性会社員(67)の現金5万円入りの財布や、数十万円の腕時計などを盗んだ疑いがもたれている>

 

埋蔵金問題など、高橋氏の論説には、注目すべき点があった。それだけに、この新聞記事には、衝撃をうけた。微罪とはいえ、いま、批判にさらされている小泉改革そのものへの評価に影響を与えかねない。

 

東洋大学もまた、たいへんなショックをうけたと思う。大学側は、どう対処するのだろうか、と思っていたが、そのご、とくに続報はなかった。

 

きょう、はじめて、高橋氏が、懲戒免職になっていたことを知った。けさの日本経済新聞は、こう伝えている。

 

<東洋大は22日までに、窃盗容疑で書類送検されていた元財務官僚の高橋洋一経済学部教授(53)を懲戒免職処分にした。処分は20日付。東洋大によると、同日開催の常務理事会で、「大学の名誉を汚し、教職員の品位を傷つける不正な行為」として、懲戒規定に基づく免職を決定した。高橋元教授とは事件後、一切連絡が取れず、処分内容は弁護士を通じて伝えるという>

 

高橋氏が失ったものは、大学教授の職だけではない。知恵袋としての高橋氏に期待していた人たちの信頼などもまた、失ったにちがいない。

 

〔フォトタイム〕

 

渋谷駅のオブジェその4

JR渋谷駅の、ハチ公改札口そば。その壁面を飾るハチ公ファミリーをモチーフとした陶板レリーフ(原画・北原龍太郎、造形・ルイ・フランセン)です。