古来、朝鮮半島の王は、中国の皇帝を仰ぎ見ることが多かった。そういうDNAは、北の将軍様、金正日氏にもしっかりと受け継がれている。

 

とはいっても、将軍様が仰ぎ見る大陸の皇帝は、胡錦濤主席ではない。マオこと、毛沢東にほかならない。言い換えれば、将軍様がお手本としてきた政治の師は、実父の金日成ではなく、マオ皇帝だということ。

 

は、北朝鮮の核戦略をみるだけでもあきらか。毛沢東は、あらゆるものを犠牲にして、核開発を優先し、大国にのしあがるための突破口とした。銃口がすべて、というのは、マオ思想の核心である。

 

けさの日本経済新聞によれば、北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」は3月30日の論説で、現地視察を繰り返している金総書記が、列車に寝泊まりしながら各地を回っている様子を詳しく伝えたという。

 

記事によれば、<現場の激励に全力を傾ける姿勢を強調するもので、「いまや列車で生活して強行軍をおこなうのが習慣になったようだ」との金総書記本人のことばも紹介している>とか。

 

毛沢東もまた専用車で、各地を視察した。専用列車は、寝室も応接室もある皇帝の“走るミニ宮殿”で、マオは、地元が用意した高級ホテルへは行かず、専用車に宿泊することもあった。

 

専用列車に配属された若い看護婦との逢い引きに都合がよいこともあったが、暗殺を逃れる意味合いもあったと思う(前に紹介したように、彼女は、最晩年のマオの秘書となって権勢をふるった)。

 

いずれにしても、マオは、危機管理の面からも、たえず移動して所在をくらましていたのである。

 

北の将軍様も、居場所を転々と変えている、というのは、以前から知られていた。今度の報道で、マオ同様、専用車でも寝泊まりしていた、というのは、はじめて知った。ただ、マオを真似て愛人を伴っているかどうかは、わからない。

 

〔フォトタイム〕

 

日比谷公会堂その2

都心のど真ん中、地下鉄日比谷線、あるいは千代田線の霞ヶ関駅から歩いて3分ほどのところにあります。