新聞各紙は、連日、北朝鮮のミサイル発射を大々的に報じている。それだけの重要ニュースであるからだ。しかし、国民の大半は、それほど警戒心も、恐怖心もいだいているようには思えない。

 

鷹揚な国民性なのか。それとも、平和ボケして、安全保障に対して鈍感になっているのか。

 

きのうの産経新聞によれば、社民党の福島瑞穂党首は、26日の参院予算委員会で、迎撃する日本政府の方針について、「迎撃ミサイルが目標に当たったら残骸が落ちる。当たらなくともミサイルは向こう(国外)へ行ってしまう。国内外の市民に被害はないといえるか」と、激しい批判を展開したという。

 

これに対して政府側は、「わが国民の生命財産に被害が及ぶ恐れがあるならば、迎撃は当然だ」(中曽根弘文外相)、「そのまま落ちてきた方が、被害は大きい。宇宙空間で当たれば、燃え尽きてほとんど落ちてこない。まず破壊することで規模を小さくするのが重要だ」(浜田靖一防衛相)と強調。

 

しかし、福島氏は、「当たらない場合は、国益を侵害し、当たった場合でも、人工衛星だったら、どうなるのか」などと、批判を延々とつづけ、野党席からも失笑がもれたとか。

 

要するに、北がいうように、人工衛星かもしれないのだから、莫大な費用をつかって迎撃することはない、ということか。それも、ひとつの考えである。旧社会党は、かつて非武装中立をスローガンとしていた。なにもしないのが、いちばん安全というわけだ。

 

ただ、この論理が苦しいのは、北朝鮮のような国家が、わが国の周辺に存在しないことが前提となっている。もし、万々が一、北のミサイルが、飛んできて、国民に犠牲者が出たとき、非武装中立論は、一挙に暴論となってしまう。

 

北朝鮮は、「人工衛星」の打ち上げだといっているが、そう信じる根拠はどこにもない。やはり、長距離弾道ミサイルとみるべきであろう。北朝鮮にとって、大きなメリットがあるのは、人工衛星ではなく、あくまでもミサイルである。

 

そのほうが、はるかに商売になるからだ。

 

北朝鮮の独裁政権は、こけ脅しで、ミサイル発射を準備しているのではない。北の人民の生活がかかった、本気の国家プロジェクトなのである。真剣度が、ぜんぜん、ちがうのだから、日本国民も、もうすこし真剣になって、この事態に身構えてほしい。

 

〔フォトタイム〕

 

グランドプリンスホテル赤坂その6

満を持して、開花のときを待っている、桜の木もいいものです。