けさの産経新聞によれば、テレビ愛知(名古屋市)は27日、別会社に制作を委託したバラエティー番組で、スタッフが通行人を装い街頭インタビューに答える「やらせ」があったという。

 

この記事を読んで不謹慎ながら笑ってしまった。「やらせ」そのものがおかしかったというのではない。この手の「やらせ」は、とうの昔から知っていたので、珍しくもない。テレビの下請け会社が、「やらせ」に走りたがる心理も、なんとなくわかる。

 

これまで街頭インタビューを収録するテレビクルーに3度、声をかけられた。急いでいたときはもちろん、急いでいないときも、立ち止まってマイクにむかって話そうという積極的な気持ちにはなれなかった。

 

考えてみれば、テレビというきわめて影響力の大きいメディアで、自分の考えを述べる、めったにない機会を与えられたのである。それをむざむざことわるのは、もったいないことである。しかし、わたしと同じような人が多いのも、たしか。

 

昨年の某日、繁華街で、テレビクルーが通行人に声をかけていた。みていると、ほとんどの人が、足早に通り過ぎて、話しを聞こうもしない。どういうテーマについての街頭インタビューかはわからなかったが、テレビクルーの疲労感がなんとなくわかる光景だった。

 

テレビ愛知の街頭インタビューは、シリアスな社会問題や大事件にかんするものではなく、観光地の感想をたずねるというもの。これなら、通行人のほうも比較的応じやすいはず。しかし、テレビ愛知が依頼した制作会社は、「時間がなかった」ので、メーク担当の女性スタッフ2人を、「通行人」に仕立てて放映した、という次第。

 

どうして、この「やらせ」が、ばれたかといえば、<登場した「通行人」と、番組最後に表示されるスタッフの名前が同じなのを不審に思った視聴者の指摘で発覚した>というのである。

 

いまだに、こういうとんまで、出鱈目な番組づくりをしているテレビ制作会社の懲りない体質には、困ったものだ。今回は、たまたま、制作会社がドジを踏んだので、視聴者も気づいたが、気づかれないままに、シリアスなテーマの「やらせ」の街頭インタビューも、放映されていたのではないかと、勘ぐりたくもなる。

 

たかがバラエティー番組、そう目くじらをたてることもあるまい、という意見もあろう。しかし、されどバラエティー番組、やっぱりとんまは見苦しい。

 

〔フォトタイム〕

 

皇居大手門その4

大手門の手前から日比谷の方向を撮りました。