きのう、福田康夫首相(自民党総裁)と民主党の小沢一郎代表が会談し、45分間にわたって話し合った。両党首ともに、密談ではないというが、これほどわかりやすい秘密の会談はほかにあるまい。なぜなら、密談でなければ、それまで同席していた双方の幹事長と国対委員長を外に追い出す必要はないからだ。

 

ヒトラーは、大勢の取り巻きと食事やお茶を飲んだりしているとき、緊急のメモが入ると、部屋に残る人間を指名し、あとは「出て行け」と命じた。密談するためである。

 

なぜ密談するのか。いうまでもないが、ほかの人間に聞かせたくないことを話すからだ。世間話をするために、側近を遠ざけるトップなど、どこにもいない。政党において総裁(代表)と幹事長は、2人3脚である。その幹事長すら、排除したというのは、ただごとではない。インド洋での海上自衛隊の補給活動継続問題をめぐる党首会談は表向きで、もっと重要な事柄を話し合ったのはたしかであろう。

 

大連立とか、解散とかを具体的なテーマとして、お互いの腹の内を割って話し合ったのか。それとも、これらのテーマを念頭に、禅問答が展開されたのか。両党首の性格からして、ひょっとしたら前者かもしれない。おそらく、福田首相からは、トップシークレットの機密事項が小沢代表に伝えられたと思う。ときの政権担当者と野党トップの決定的な差は、情報である。内閣総理大臣が、他の大臣や与党幹部を圧倒するパワーの源泉もまた、首相だけが知りえる情報にある。

 

かつて小泉純一郎首相が訪米した際、ブッシュ大統領は、CIA報告の席に小泉首相を同席させた。これほどの厚遇は、ほかにそう例があるまい。

 

福田首相は、毎日のように担当官から情報報告をうける。あくまでも推測にすぎないが、小沢代表には、アメリカのホワイトハウス情報も含め、最高機密が伝えられたのではないか。それが、幹事長と国対委員長はずしの、もうひとつの理由であったのではないだろうか。

 

いずれにしても福田・小沢密談に落ち着かないのは、公明党であろう。もし自民党と民主党の大連合となれば、公明党は吹き飛ばされてしまう。これまで公明党は、小沢代表に何度か煮え湯を呑まされてきたので、相当の警戒心を抱いているはずだ。日本経済新聞10月22日付朝刊の「私の苦笑い」という欄で、公明党の前代表、神崎武法氏が、「まさか党首選に勝って解党するとは思わなかった。新進党党首だった小沢一郎氏の出方が読めなかった」と、10年前の出来事を回想している。<このとき、小沢氏は党首選に勝利したものの、解党を宣言。新進党は結党わずか3年で幕を閉じることになった。新進党に合流した旧公明党グループには今も小沢氏の「独走」が原因で解党に至ってしまったとの認識が強い>が、神崎氏は、ここで<「政治は生き物」「予断は禁物」。新進党解党劇は、政治の怖さを痛感した出来事だったといえる>と結んでいる。たしかに、政治は生き物であり、あす、なにがあってもおかしくない世界である。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

11月1日、イチョウ黄葉(光が丘)、コブクザクラ開花(野川)、ツワブキ(旧芝離宮=いずれも東京都公園協会「花のカレンダー2007」より。以下、同じ)。

11月2日、サラカシ・マデバシイの実落果(城北中央)。

11月3日、文化の日。紅葉見頃(神代)、ハゼノキ紅葉(清澄・旧古河)。

 

〔フォトタイム〕

 

経済産業省その4

真向かいは、官庁のなかの官庁といわれる財務省です。しかし、昨今は、「大通りのむこうより、こっちのほうが、やりがいがある」という声もあるほど、経済産業省の存在感は高まっています。