「いつから日本は億単位の社会になったのだろう」という書き出しで始まる、けさの「産経抄」は、当然、女子大生誘拐事件にもふれている。


 「カリスマ美容外科医の娘の身代金が3億円だ。キャッシュで購入した3億円の豪邸に住み、女性の豊胸手術を忙しいときで1日4件こなす。『時給100万円、月収1億円、年収12億円』(ご本人)ときてはもう金銭感覚がどこかに吹っ飛んでしまいそうだ」 


「彼女は努力して医師としての技量を上げ、そのウデが買われての結果だからまあ堅気である。ただ、テレビや出版物で『同じ服は二度と着ない』『ロールスロイスの運転手を募集中』というから人がうらやむ。遺憾ながら悪党がそこに狙いをつけた」  

 

「産経抄」に同感である。これに付け足すことはほとんどないのだが、「時給100万円」を支える女性たちに若干、ふれてみたい。


 カリスマ美容外科医はテレビに出たり、本を書いたりしているので、本業以外にも収入がある。金融資産もあろう。しかしながら、「時給100万円」を維持できるのは、本業が繁盛しているからだ。


 昨年暮れに乗った個人タクシーの運転手さんは、年収300万円といっていた。カリスマ美容外科医の3時間分か。そうすると、自分の年収は、彼女の何時間分になるのか。いや、もう、そういう、疲れる連想はやめよう。


 話を戻す。あまりにも単純な計算方法で、お叱りをうけるのを承知でいうのだが、個人営業で「時給100万円」を得るには、1時間に100万円以上を出費してくれるお客さんが必要だ。


 整形美容に、保険はきかない。相当、高額にちがいない。手術代は、どういう基準できめられているのだろう。美しくなりたい、という女性は、出費を惜しまないのか。


 いずれにしろカリスマ美容外科医は、胸を豊かにする手術で、高収入を得ているのだから、理屈のうえでは、オペ代は1時間100万円以上、という推定はそれほどおかしくないはずだ。日本の女性は、ほんとに豊かになった。


 3月、台湾で医師団体のリーダーにお会いしたとき、外科医のなり手がないとこぼしていた。勤務がきつい割には、収入が少ないからだという。ただし、「整形外科医は、ちがいますけれど」と付け加えた。


 韓国女性の整形美容はつとに知られるところだから、日本にかぎらず、アジアの女性は豊かになった、というべきかもしれない。


 <きょう・あす・あさって> 


昭和61年(1986年)6月29 第13回メキシコW杯でアルゼンチン、西独を破り優勝。マラドーナ大活躍。20年前。


 〔フォトタイム〕


目黒不動その2 

 

目黒不動尊の縁起によれば、大同3年(808年)、15歳の円仁(のちの慈覚大師、第3代天台座主)が比叡山へむかう途中、目黒で宿をとりました。そのとき、神人の夢をみたので、その像を彫り、安置しました。これが寺のはじまりです。ご尊像は秘仏として12年に1度、酉(とり)年にご開帳されます。