自分では高所恐怖症だと思っている。それに気づいたのは、ずいぶん昔になるが、パリのノートルダム大聖堂のてっぺんにのぼったときだった。下を見て足がすくんだ。

 以来、自分は高所恐怖症にちがいないと勝手に思い込んでいる。したがって、高層マンションに住みたいと思ったこともない。ほんとうは見晴らしがよくて、快適な生活が可能なのだろう。ただ、火事が怖い。

 けさの午前8時半頃、千代田区西神田で区の複合施設「西神田コスモス館」(25建て)の20階から出火した。黒い煙があたりにたちこめた。住民の恐怖はいかばかりであったか。さいわい、早く消火にあたって大惨事をまぬがれた。

 非常時には、エレベーターはとまる。階段を下りるというのは、けっこうたいへんだ。だから、高層マンションに住む人たちは、ふだんから足腰を鍛えておいたほうがよい。ときにはエレベーターを使わずに、下まで降りるトレーニングも必要だ。