雑誌や本が売れず、新聞もずいぶん部数が減っている。相変わらず活字ジャーナリズムの前途は明るくないが、けさの産経新聞によれば、文学全集や個人全集が続々と出版されているとか。久しぶりのあかるい話題にホッとした。

 記事によれば、平成23年に完結した河出書房新社の「世界文学全集」(全30巻)は合計で40万部を売り上げたそうだ。これは快挙といってよい。まだまだ日本の活字文化は健在だと思った。

 カネのなかった若い頃、なんとか節約して河出の世界文学全集を一冊、一冊買い増していった。そろえるのに、何年かかったか。実際に読んだのは、そのうちの23割にすぎなかったが、粗末な本棚に並んだ全集を眺めているだけで、心が豊かになるようだった。

 しかし、五、六〇代になって、だんだん全集から遠ざかっていった。活字が小さくて読めないのだ。あんな小さな活字を懸命に読んでいたのだから、若いときは視力も元気だったのだ。