2012年07月

79日の当欄で、<NHKニュースが金正恩(キム・ジョンウン)のそばにいた妙齢の女性を妹か、妻ではないかと報じていた。妻ではなく、妹の金ヨジョンにまちがいない>と書いた。

 

残念ながら、これはわたしのまちがいで、彼女は妻であった。訂正をかねてすこしふれておきたい。

 

韓国の聯合ニュースは25日、北朝鮮の朝鮮中央通信がこの日におこなわれた平壌(ピョンヤン)の遊園地の完工式に金正恩が、リ・ソルジュ夫人をともなって出席したと伝えたと、報じた。

 

前回も今回も第一書記と一緒にいた妙齢の女性は同じ人であり、北朝鮮公式メディアの報道でまぎれもなく妻というのが、これで確認された。

 

金正恩の生母、高英姫(コ・ヨンヒ)は金正日(キム・ジョンイル)と正式には結婚していなかった。金正恩もこの女性と結婚式を挙げているかどうかはわからないが、形式はともあれ、正妻と見てよかろう。

 

韓国の柳佑益(リュ・ウイク)統一相も国会の委員会で、「金正恩夫人とみている」と答弁したという。

 

リ・ソルジュという漢字名はわかっていない。「李雪主」という字をあてているメディアもあるが、まだ正式には確認されていない。

 

リ・ソルジュ夫人は北東部の清津(チョンジン)出身といわれている。

 

高英姫は万寿台(マンスデ)芸術団のトップスターであった。リ・ソルジュもまた芸術団出身という情報がある。高英姫は踊り子だったが、リ・ソルジュは歌手だったとか。

 

 

北朝鮮の党や軍の幹部の息子たちは、芸術団などの踊り子や歌手と結婚するケースがすくなくない。

 

また、リ・ソルジュ夫人は金日成総合大学の卒業生という情報もある。

 

いずれも未確認情報だが、彼女が北朝鮮のファーストレディーとしてこれからメディアを賑わすのはたしかであろう。

 

軍の実力者を排除したり、妻を同伴して安定した家庭をアピールしたり、金正恩のメディア演出はなかなか大胆かつ細やかでバラエティーにとむ。

 

 

〔フォトタイム〕

 

二重橋その4

バッキンガム宮殿のように華麗な近衛兵の交代には及びませんが、皇宮警察の警護担当官の交代がここで見られます。

 

 

 

マリナーズのイチロー外野手(38)がヤンキースへ電撃的な移籍を発表してわずか数時間後には、ヤンキースのユニホームを着て、マリナーズ戦に出場した。

 

イチローの大胆な演出には舌を巻いた。

 

ただ、これはアメリカだからできた衝撃的なセレモニーであって、日本では馴染まないようにも思う。アメリカではスター選手もトレードはごく当たり前ということなのか。

 

たとえばの話だが、巨人の高橋由伸外野手が午後3時に東京ドームで阪神への移籍を発表し、その日のナイターで阪神のユニホームを着て巨人戦に臨んだら、スタンドはどういう反応を示すだろうか。

 

これはファン心理の研究としても、とても興味あるところだ。

 

東京ドームにやってきた巨人ファンのなかには、高橋由伸外野手の活躍を期待している人がかならずいるはずだ。

 

阪神へ行こうが、広島へ移ろうが、どこへ行っても高橋ファンという人もいるだろうが、多くのファンは突然、発表されては戸惑うだろう。

 

さいわい球場にかけつけたシアトルのイチローファンは、あたたかい声援と拍手でイチロー選手の11年間の健闘を称えた。イチローは地元ファンに愛されていたから、意表をつく別れの儀式ができたといえよう。

 

〔フォトタイム〕

 

二重橋その3

橋を渡って、ここが皇居への正式の門となります。

 

 

 

自民党の森喜朗(よしろう)さん(75)がつぎの衆院選に出馬しないという。話術のたくみな、息の長い政治家であった。政治家としての実績は、メディアが報じてきた以上に高い評価を与えてよいと思う。

 

昔、直接、ご本人から政治家になった頃の話をきいたことがある。その一端を紹介してみたい。当選14回、40年を超える代議士生活のスタート時点の貴重なエピソードだ。

 

森さんは石川県能美郡根上町(現在の能美市)で町長の長男に生まれた。子どものころからラグビーの選手になるのが夢であった。

 

憧れの早穏田に入って、念願のラグビー部員になったけれども、体をこわしてしまった。そのためラグビー部を辞めて、雄弁会に入った。これが森さんの将来を決めた。

 

雄弁会のメンバーは政治家志望が多い。朱に交わればなんとかで、そのうちに森さんも政治家になろうと思うようになった。

 

先輩の渡部恒三さんが、「一番手っとり早いのは秘書になってそこで政治の修業をすることだ。ただし絶対に自分の選挙区の秘書になっちゃいかん。一番いいのはよその選挙区選出の代議士の秘書になることだ」と教えてくれた。

 

「その前に新聞記者として勉強しようと思い、産経新聞社に入りました。しかし、政治部には置いてくれないんですよ。もっとも政治部だったら仕事が面白くて出るチャンスを逃していたかもしれない」(森さん)

 

森さんは、産経新聞グループの日本工業新聞記者となった。そして、取材先で知り合った会社社長の推薦で、愛媛県の今松治郎代議士の秘書になった。その人は岸信介さんの直系の代議士だった。

 

森さんは、昭和四四(一九六九)年三月、衆院選に名乗りをあげた。しかし、党の公認候補になれなかった。苦戦だった。とにかく名前のある政治家が応援に来ない限りだめだと、思い余って岸事務所を訪ねた。思いがけなく「行ってあげよう」と岸さんはOKした。

 

岸さんは、前の晩まで韓国に滞在していた。すでに七〇歳を過ぎていた。朝六時ごろの新幹線で出て、米原で北陸線に乗り換えて、森さんの選挙区を三、四時間まわってくれた。

 

「最後に地元の小松市で五〇〇〇人近い人たちを前に演説し、握手をして、そして汽車に乗って帰られたんです。それで、わたしは非公認だが、中央での保証がつき、その勢いで初出馬にしてトップ当選することができたのです」(森さん)

 

初当選後、森さんは岸さんのところへ挨拶に行った。そのとき、こんなやりとりがあった。

 

「ほんとうにありがとうどざいました」

「そんなによかったのなら、わたしの頼みも聞いてくれんか」

「どんなことでもします」

「福田赳夫君のためにこれから働いてほしい」

 

森さんは、ちゅうちょなく福田派に入ったのであった。

 

〔フォトタイム〕

 

二重橋その2

日本でもっとも記念撮影の多いところかもしれませんね。

 

 

ここ数日の肌寒さは、なんとしたことだろう。いくら節電のご時世とはいえ、あれは度を越していた。

 

7月中旬というのに、熱燗がぴったしであった。

 

セーターを着ていた人がいた。2月にランニングシャツで街を歩いているようなものだ。

 

寒いときは寒く、暑いときは暑く。これが自然の摂理であり、人間はそれにしたがってライフサイクルを確立してきた。

 

そうであるからこそ、衣類メーカーもビール会社も安心できるのだ。

 

夏の甲子園が春の選抜より熱気をはらむのは、やはり猛暑と高校生のひたむきな汗がマッチしているからにちがいない。ブルブルふるえて観戦する高校野球はサマにならない。

 

さはさりながら熱中症と雷と蚊はいやだ。やはり、暑さもほどほどがいい。

 

〔フォトタイム〕

 

二重橋その1

懐かしく感じられる方も多いと思います。

 

 

親が大資産家なら、子どもは一生ぜいたくに暮らせる。そう思うのがふつうだが、実際はそうでもないという。「ニューズウイーク日本版」718日号に載った<億万長者は子どもにとってケチなパパ>という記事を紹介しよう。

 

たとえば鉄鋼王のカーネギー。現在の貨幣価値にして124億ドルの資産の大半を慈善活動に寄付した。

 

「富を抱えて死ぬのは、不名誉な死にざまだ」、「息子に莫大な財産を残せば、息子の才能と活力を殺すことになるのが常である」というカーネギーのことばが残っている。

 

世界長者番付の常連、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも子どもに財産を残すことに否定的だ。ゲイツ夫妻は、610億ドルの資産の半分を自分たちの名を冠した財団に寄付すると公言している。

 

世界3位の金持ちとされる投資家のウォーレン・バフェットは資産の85%を慈善活動に寄付すると約束した。「金持ちは子どもがやりたいことをやれる金は残すべきだが、何もせずに暮らせるほどの財産を残すべきではない」というのが、バフェットの考えだ

 

香港の貧しい行商人から身を起こし、不動産投資で財を成した余彭年(ユィ・ポンニエン)は白内障の患者など、貧しい人々を救済する活動に私財を投じている。これまでの寄付総額は累計12億ドルとなる。

 

子どもたちは遺産をもらえないことに怒っていないかと聞かれた余は、「いや。少なくとも人前ではね」と語った。そして、こう付け加えた。「子どもたちが有能なら親の財産など要らないし、かれらが無能なら、多額の遺産を相続させるのは金をどぶに捨てるようなものだ」と。

 

ケチなパパをもった子どもたちはどう思っているのか。バフェットの娘、スーザンに代表して語ってもらおう。

 

昔、インタビューでスーザンは、「父は正直で自制心のある善良な人」と言いつつも、「世の親たちと違って、父はわずかなお金もくれない。教育のつもりだろうけど、お金の大切さはもう分かっている。そろそろ財布のひもを緩めてくれてもいいのでは」とちょっぴり不満も漏らした。

 

ゲイツには3人の子どもがいる。かれらが受け取る遺産は親の資産規模からすれば「スズメの涙」だとゲイツは言うが、それでも子ども1人当たり推定1000万ドルだという。

 

1000万ドルでスズメの涙とは。やっぱり大資産家の子どもは恵まれている。

 

〔フォトタイム〕

 

日比谷公園その7

中央右寄りに大噴水が見えます。

 

 

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