2010年10月

きのうにつづいて温家宝首相の悲哀について書いてみたい。

 

けさの朝日新聞によれば、<日本との首脳会談を土壇場でキャンセルした前日夜、温首相はその直後にあった各国首脳が集まる夕食会を30分で切り上げて、退席した>という。

 

各国首脳やそのスタッフ、それにメディアが見張っているなかで、温家宝さんのような大物が夕食会を中座するというのは、とても目立つし、どうしたんだろうと周辺の関心を呼ぶことになる。

 

体の調子でもわるかったのかな、と思ってみたが、どうもそうではないようだ。

 

朝日記事によれば、<理由は不明だが、日中関係筋の間では、「北京の指導部とやりとりをした」「改めて日本と接触するよう指示を受けた」などの推測もある>というが、いずれにしてもどこかおかしい。

 

なにがおかしいかといえば、北京にいる中国共産党幹部のだれかは、温家宝さんがいま夕食会の席にいることを知りながら、電話に呼び出した、と推測されるからだ。

 

中華人民共和国の歴代総理、周恩来、李鵬、朱鎔基なら外国要人と食事中に電話が入っても、「あとで」といってさえぎり、たぶんテーブルから中座することはなかったろう。

 

どうやら温家宝首相の立場に異変が生じているのはたしかのようだ。

 

胡錦濤主席、温家宝首相は親日家だった胡耀邦総書記の門下生で、胡・温執行部は日本にとってわるくない体制なのに、保守派の巻き返しで翻弄されている。

 

温家宝首相の悲哀は、日本にとっても哀しむべき事態といえよう。

 

〔フォトタイム〕

 

乃木坂トンネルその7

いつか、このトンネルを車で通るかもしれませんね。

 

 

ハノイの日中首脳会談を直前になって中国側が拒否したという。またまたドタキャンである。中国共産党政権にとって、ドタキャンは日常茶飯事のこと。全然、驚くこともない。

 

おそらく中国共産党政権がらみでドタキャンの被害にあった日本人は、民間も含めればゴマンといるはずだ。わたしですら、経験がある。

 

5年ほど前にあった、中国の“鉄の女”といわれた呉儀女史のドタキャン事件を覚えている方は多いと思う。

 

2005519日、のちに副首相となる女史だが、来日したときは衛生大臣を辞めた直後で無役であった。それでも中国共産党の有力幹部のひとりということで、小泉純一郎首相は女史と会うことになった。

 

それなのに、急に公務が入ったという言い訳で、一政党の幹部にすぎない女史は、一国の首相との会談を取りやめてさっさと帰国してしまった。

 

外交儀礼上もずいぶん失礼な話だが、かの中国共産党政権の体質を考えれば、女史のマナーを批判してもはじまらない。当時、わたしは、むしろ呉儀という人に同情したのを覚えている。

 

というのは、その直前の小泉さんの靖国発言が北京を刺激し、彼女に帰国命令が出たのであって、鉄の女も所詮は中国共産党の司令塔が命じるままにしか行動できなかったのである。

 

呉儀女史は、本音では小泉さんに会いたかったと思う。直前になってキャンセルしたことに心もおだやかでなかったはずだ。

 

しかし、北京で共産党幹部として生き抜くためにも、さらに党や政府でもっと上を目指すためにも、中国国内むけのパフォーマンスとして、いかにもごう然とした態度で小泉さんに恥をかかせる必要があったのである。

 

同じような理由で、今回の温家宝首相にも同情したい点がある。はっきりいって、日中首脳会談に応じるかどうかの決定権が、当事者である温家宝さんにあったかどうか、わからないのだ。

 

温家宝さんは、菅直人首相との会談をぎりぎりまで諦めなかった。しかし、北京からゴーのサインが出なかった、ということではなかったのか。

 

よく事情はわからないけれど、硬い表情の温家宝さんに、なにか悲哀のようなものを感じた。

 

これはわたしのまったくの推測だが、いまや胡錦濤主席と温家宝首相の両首脳が一致し了解しても、執行部としての決裁ができないほどにふたりの指導力がゆらいでいるのではあるまいか。

 

その背景に習近平氏を盛りたてて保守派が力をつけてきたことがある。

 

いうなれば、中国共産党最高幹部である常務委員9人が合意しないことには、ものごとが決定できない雰囲気になっているような気もする。

 

なぜ、そうなったのか。それは当欄でもしばしば指摘している中国国内の不安定要素で、とりわけ偽装反日デモへの過敏なほどのいら立ちがうかがわれるのである。

 

〔フォトタイム〕

 

乃木坂トンネルその6

トンネルのすぐそばには、青山墓地があります。

 

 

 

メディアが報じているように、不審死の疑いがあった青梅の53歳のサラリーマンの死因が、やっぱり自殺から他殺に代わった。

 

たった一文字のちがいだが、天と地ほどにその差は大きい。

 

犯人と目されている女、木嶋佳苗被告(35歳)は、男性の部屋にコンロ6個を持ち込み、練炭を燃やして一酸化炭素中毒死させた疑いで、きょう、警視庁に再逮捕された。

 

「わたしは殺していません」と否認しているというが、男性は女に1700万円もつぎこんでいた。

 

1700万円! はんぱな金額ではない。

 

殺人容疑で起訴されている被告は、逮捕される前は、定職を持たなかったのに、高層マンションに住み、高級外車を乗り回し、ぜいたく三昧の生活を送っていた。

 

結婚紹介サイトで知り合った複数の男性から総額1億円もの大金を巻きあげていたのだから驚く。カネばかりではなく、命まで奪っていた確率はかぎりなく高い。まったく鬼のような女である。

 

被告に騙された被害者の年齢をみると、41歳、53歳、70歳、80歳となっている。40代から80代までの分別ある人たちが手玉にとられてしまった。

 

おそらくは、この女の偽りの優しさに、安心しきっていたのだろう。

 

考えてみれば、信頼を寄せてくれている善良な人を騙すのは、じつにたやすいことである。それだけに、人の善意を踏みにじる行為は罪が深い。

 

この女がからむ不審死は4件だが、立件されたのは、今回が2例目にすぎない。

 

今回も司法解剖がなく、公判は状況証拠でいくしかない。当初自殺と警察が判断したのは、男性の部屋にカギがかかっていたからだった。自殺と他殺の見極めは至難の業なのだろうが、初期の捜査で他殺とわかっていれば、その後の事件も続発せず、殺されることもなかったであろう。

 

〔フォトタイム〕

 

乃木坂トンネルその5

左手のビルは、日本学術会議の建物です。

 

 

 

米経済誌「フォーブス」が、200910月以降の一年間で500万㌦以上の収入があった故人のランキングを発表した。

 

このニュースでもうひとつ興味をもったのは、死んだのちもおカネを稼げる職業とはなんだろう、という点。けさの朝日新聞の記事を参考に、<故人収入ベスト10の職業一覧>をつくってみた。

 

1位、ポップ歌手(27500万㌦)

2位、歌手(6000万㌦)

3位、作家(5000万㌦)

4位、漫画家(3300万㌦)

5位、音楽家(1700万㌦)

6位、作家(1500万㌦)

7位、絵本作家(1100万㌦)

8位、物理学者(1000万㌦)

9位、大リーグオーナー(800万㌦)

10位、作曲家(700万㌦)

 

やはり圧倒的に創作する人が、死後も稼いでいる。それも音楽家が健闘している。亡くなった方に「健闘している」はおかしいかもしれないが、実感としてはそういう感じだ。

 

昨年亡くなった1位のポップ歌手は27500万㌦。180円として220億円になる。

 

小泉純一郎さんがファンだった2位の歌手(6000万㌦)は、1977年にこの世を去っている。それなのに、いまだに年間48億円の収入があるのだ。

 

日本女性を妻にした5位の音楽家も30年前に亡くなっているが、いまも136000万円を稼いでいる。

 

音楽家というのは、なんと素晴らしい職業でないか。

 

55年前に死んだ8位の物理学者(1000万㌦)はいかにも唐突だが、米ディズニーが販売する幼児向け教材の名前使用料などの収入だという。そういえば、この著名人のCMはよくみかける。日本でも着々と稼いでいるのだ。

 

ちなみに、この人たちの名前はつぎのとおりである。

 

1位、ポップ歌手(27500万㌦)→マイケル・ジャクソン

2位、歌手(6000万㌦)→エルビス・プレスリー

3位、作家(5000万㌦)→JRR・トールキン

4位、漫画家(3300万㌦)→チャールズ・シュルツ

5位、音楽家(1700万㌦)→ジョン・レノン

6位、作家(1500万㌦)→スティーグ・ラーソン

7位、絵本作家(1100万㌦)→ドクター・スース

8位、物理学者(1000万㌦)→アルバート・アインシュタイン

9位、大リーグオーナー(800万㌦)→ジョージ・スタインブレナー

10位、作曲家(700万㌦)→リチャード・ロジャース

 

〔フォトタイム〕

 

乃木坂トンネルその4

乃木坂トンネルは、テレビのメロドラマなどでも登場することがあるようです。

 

 

 

外交日程は、早くから決まっている。だからインドのシン首相の来日には、中国への牽制といった確たる意味合いがあったわけではないが、偶然にもタイミングがぴたりと合ってしまった。

 

国と国との関係というのは、こういう偶然が重なってやがて大きな変化へと転じることもあるものかもしれない。

 

中国とくらべれば、インドは地理的にも遠いし、インダス文明は黄河文明とはまったく異質ですぐには馴染めないところがある。

 

インドへ行った日本人は、帰国後、インドにのめり込む人と、もう二度とインドに関心をもたない人に分かれるとよくいわれる。しかし、考えてみれば、これはインドにかぎらずどこの国についてもいえることでもある。

 

さいわいわたしは、インドに嫌悪感をもつことはなかった。夕日をうけて野良仕事をするサリー姿の農婦に、一幅の絵をみるような美しさを感じたのは、いまも忘れられない。

 

菅直人首相とシン首相の会談では、レアアースの一件も話し合われた。日本とインドのトップ会談の様子を東京の中国大使館は、知り得た情報のすべてを本国へ打電したはずだ。

 

日本とインドの親密な関係を大いに中国にみせつけたほうがよい。世界のなかで、大国は中国だけではないのである。

 

〔フォトタイム〕

 

乃木坂トンネルその3

乃木坂トンネルの照明は、太陽の光を使っているそうです。

 

 

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