2010年09月

朝鮮労働党の人事が決まり、ジョンウン大将は党軍事副委員長になった。予想通りといえよう。ただ、意外だったのは、金正日(キム・ジョンイル)総書記の実妹、金敬姫(キム・キョンヒ)が軍の大将と政治局員になったのに、夫の張成沢(チョン・ソンテク)は政治局員候補にとどまったことだ。

 

両雄並び立たず、という。将軍様は妹婿の張成沢が息子のジョンウンをおびやかす存在になるのを嫌ったのだろう。

 

もっとも、張成沢はもともと妻の金敬姫に頭が上がらないし、金正日にはすくなからず恩義がある。

 

たとえば、そのひとつ。

 

張成沢と金敬姫は金日成総合大学に在学していたとき、恋に落ちた。どうやら金敬姫のほうが積極的だったらしいが、父親の金日成は娘の願いを聞かず、張成沢を農村へ追いやった。

 

頑固な父親と気の強い妹の間に割って入って、この大恋愛を実らせたのが、将軍様だった。

 

有為転変を経て実力者となった張成沢に、まったく野心がないわけではあるまい。しかし、将軍亡きあとはジョンウンと代わってやろう、というところまでは考えていないと思う。むしろ、後見役として強大な影響力を行使していくはずだ。

 

〔フォトタイム〕

 

外務省その4

外務省の周辺には、人通りのすくない、こんな通りもあります。

 

 

ジョンウン大将の登場で北朝鮮がこれからも先軍政治路線を突っ走ることが明確になった。先軍政治というのは、すべてに軍事が優先することだ。身の丈をオーバーした軍事国家のかたまりみたいなものが、日本のちかくに存在すること自体、なんとも不気味である。

 

先日、上空を睨むロシアのミサイルがじつは、張りぼてのダミーだったという記事があった。北朝鮮の場合、ほんとうの軍事力はどのていどなのか、いまだにわからないことだらけだ。

 

北朝鮮の軍事力については、専門家の意見もまちまちで、たとえば金正日総書記の料理人だった藤本健二氏などは楽観的な見方をしている。

 

昨日に引き続き、ふたたび藤本氏の証言をひいておこう(以下、いずれも「現代」20049月号より)

 

<あり得ないといえば、世界第4位の軍事力を誇るとも喧伝される朝鮮人民軍が戦争を起こすことも、絶対にないと断言できます>

 

<わたしは、金正日が全国各地の軍隊を視察するとき、何度も同行しました。最近は日本のテレビでもときどきその映像が流れますが、金正日が軍の駐屯地に到着すると、「将軍様のお見えだ!」と大騒ぎになります。金正日は兵士たちの歓声に手を振って応え、皆で記念写真を振ります>

 

<しかし、絶対にテレビが流すことのない金正日の軍隊視察恒例のメインイベントがあります。それはなんと日本製カップラーメンの贈呈式でした。銘柄はエースコックの「スーパーカップ15倍」のみそ味としょうゆ味です>

 

<金正日が壇上から合図すると、2㌧トラックから仰々しくカップラーメンが降ろされます。そして軍の幹部がみそ味としょうゆ味を1箱ずつ、直立不動の兵士一人ひとりに配っていきます。配給が終わると金正日将軍に対して、歓喜の大合唱が起こるのです。こんな軍隊に戦争などできますか?>

 

藤本氏が示唆するように北朝鮮の兵士たちが飢えに苦しんでいるのは、事実であろう。ただ、そうかといって北朝鮮の軍事力を侮ると、朝鮮半島情勢を見誤ることになる。

 

ことしの326日、韓国海軍の哨戒艦「天安」が北朝鮮の小型潜水艦から発射された魚雷で沈没、46人が犠牲になった事件を忘れてはならない。技術的にも、かなり高度な軍事レベルにあるのは、まちがいあるまい。

 

〔フォトタイム〕

 

外務省その3

ふだんの生活ではほとんど縁のない役所ですが、海外旅行などではいちばん頼りになるところですね。

 

 

金正日(キム・ジョンイル)総書記の3男、金ジョンウンが大将になった。まだ27歳の若者が軍幹部になるのだから、後継者になるのはまちがいない。

 

高名な北朝鮮専門家のなかに、なかなかジョンウン後継を認めない人たちがいた。専門バカとはよくいったものだ。

 

かれらは、金正日の料理人だった藤本健二氏の証言を軽く見ている節があった。しかし、これはまちがいで、身辺に長くいた人の分析にはやはり説得力がある。

 

たとえば、藤本氏はつぎのように述べていた。

 

<金正日が正雲を自分の後継者にしようとしていることは、側で仕えていて一目瞭然でした。たとえば、一家で食事をするときは、中央に金正日が座り、その右隣が妻の高英姫、高英姫の右隣に正雲が座ります。金正日の左隣はヨジョンで、正哲が座るのは、ヨジョンの左隣の末席なのです。儒教社会の朝鮮では、この席順によっても、正雲が「皇太子」であることがはっきりしています>(「現代」20049月号)

 

ヨジョンとは、金正日と高英姫(コ・ヨンヒ)の間の末娘。正哲(ジョンチョル)は、次男だ。藤本氏は、かれらの異母兄である正男(ジョンナン)の姿を見たことがなかったという。そういう人物が後継になる可能性はうすいのに、儒教社会のしきたりに固執して長男説にこだわっていた北朝鮮ウオッチャーがすくなくなかった。

 

〔フォトタイム〕

 

外務省その2

日本外交を担う本山です。

 

 

 

日本にとって、中国はもっとも扱いにくい国である。これは、ほぼ異論のないところであろう。

 

ところが、中国にとっても、もっとも扱いにくい国は日本だという。

 

そういう見方がスーザンL・シャーク著、徳川家広訳『中国 危うい超大国』(日本放送出版協会、2008年)にあった。

 

訳書によれば、シャークは、現代アメリカを代表する中国政治の研究者。1971年、ニクソン訪中に先立ち、アメリカ初の人民中国への留学生のひとりに選ばれて中国に渡っているという。

 

1974年にMIT(マサチューセッツ工科大学)より政治学の博士号を取得した後も、頻繁に中国を訪れ、中国に政官界をはじめとする広範な人脈を築いている。1997年から2000年まで国務次官補代理として東アジア・太平洋局に所属し、クリントン政権の対中政策を統括した人物とか。

 

シャークは、こう述べている。

 

<中国の指導層が、内政に影響を及ぼす可能性が最も高いとしている3つの対外関係が、日本、台湾、そしてアメリカとのそれだ。そのなかでも最も扱いが難しいのが、対日関係である。日中関係は「中国外交のあらゆる側面において最も重要かつ困難」であり、中国の指導層も、こと日本相手となると、国益と権力維持の問でバランスをとるのにとんでもない苦労を強いられる>

 

<「日本問題に関する限り、中国人は理性的でいられません」と、ある中国人学生が説明してくれた。「中国政府にとって世論が意味を持つ対外政策課題は、実は中日関係だけなんです」>

 

いやはや、というしかない。

 

〔フォトタイム〕

 

外務省その1

霞が関を通ったので外務省を撮ってきました。

 

 

ファンのひとりとして、白鵬の62連勝がうれしい。もちろん、4連覇も。優勝が決まったあとのインタビューで白鵬はいった。

 

「わたしは、そんなに力の強い人間ではありません。精進してきました。運を神様が与えてくれたのだと思います」

 

この謙虚さがいい。

 

「文藝春秋」10月号に朝田武蔵さん(ジャーナリスト)が白鵬にインタビューしてまとめた記事が載っている。ここでも、白鵬は「「私は力の強い人間じゃない」といっていた。そして、こうつづける。

 

「相撲は力じゃない。体の使い方です。(稽古を重ねて)足腰が良くなる、体が大きくなるというと、(相手への)圧力が強くなる。足腰がいいと、体重を活かす相撲ができるようになる。(上半身の)力に頼ってないんですよ。わたしの体重152㌔は幕内(力士の)平均体重です。平均であっても150㌔ってすごい重いじゃないですか。それを利用する相撲になってるんですよ。目に見えない圧力です」

 

土俵上で、朝青龍は、なにがなんでも勝つんだ、と闘志をむき出しにした。白鵬は、ちがう。「文藝春秋」には、こんな白鵬のことばがあった。

 

「歌にあるじゃないですか、勝つと思うな、思えば負けよって。だから、勝ちに行くんじゃないぞみたいな。横網っていうのは、思い切って(相撲を)やってないんです。100%(の力)でやってない。そうすると絶対、落とし穴があるんです。ちっちゃい土俵だし、俵を割れば負けだから。バーッと馬鹿みたいに待ったりしたら、負けちやいますからね」

 

69連勝まで、あと7つ。来場所、白鵬はいよいよ双葉山に迫る。

 

〔フォトタイム〕

 

東京スカイツリーその7

東京スカイツリーの事業主は、東武鉄道。1430億円を投じ、開業2年目で単年度の営業黒字を目指しています。

 

 

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