2009年11月

JR東日本が発行する「大人の休日倶楽部ジャパング」12月号に、<心をいただく永平寺の精進料理>という記事があった(取材・文=佐久間成美さん)。

 

福井県の永平寺へ行きたいと思いながら、いまだに実現していないので、こういう記事に出会うと、うらやましさが先にたつ。

 

永平寺といえば、道元。昨年、「禅 ZEN」という映画をみた(高橋伴明監督)。道元を演じた中村勘太郎がなかなかよかった。

 

「禅 ZEN」では、坐禅はもちろん、調理や食事も重要なシーンだった。佐久間さんも、こう書いていた。

 

<永平寺で食が重視されるのは、宋に渡った道元禅師が、食事の支度にも全身全霊でむきあう老僧に出会い、深い感銘をうけたことによる。坐禅だけでなく、日々の営みのあらゆる場面が尊い修行であることを実感し、そこに真の仏法をみいだしたのだ>

 

年に2回、禅寺でひらかれる坐禅の会に参加している。その際、住職とともに全員、精進料理をいただくが、おしゃべりは一切禁物。事前に住職から食べ方について説明があって、そのルールにそって粛々とハシを動かすのである。

 

永平寺で雲水たちは、どういう修行をしているのだろうか。佐久間さんによれば、<ある雲水は永平寺での修行を「ひたすら繰り返しの毎日」といった>という。あさ起きて、顔を洗い、坐禅をし、寺内の労働をおこない、食事をし、また坐禅をする。その繰り返しにちがいない。

 

<参拝者にひらかれた参籠体験の場に身をおけば、繰り返しの日々に大切な意味をみいだし、毎日に感謝して精一杯全うしようとする雲水の思いに、直ちにふれることができるだろう>

 

そう書いた佐久間さんの文章に、ナットクする。そうか、繰り返しの日々に大切な意味があるのだ、と。究極のシンプルライフというのは、繰り返しの連続にあり、それこそが、生きるよろこびでもあるのだ。

 

〔フォトタイム〕

 

迎賓館赤坂離宮その1

1126日から28日まで、迎賓館赤坂離宮の前庭が一般に公開されました。

 

昨夜、テレビニュースをみていたら、男子児童が校舎の3階ベランダから転落したニュースが放映された。

 

27日午後、武蔵野市の小学校で4年生の男児(10)は、教室の窓を乗り越えてベランダに出て遊んでいたが、足を滑らせてしまった。いったんは、壁にぶらさがったが、耐えられず手を離した。

 

3階ベランダから、地上までは約9㍍。落下地点の状態や、打ちどころによっては、重傷どころか、生命の危険さえあった。しかし、男の子には、2つの幸運が重なって、右足に軽いケガをしたていどで済んだ。

 

幸運の1つは、転落した男の子が、途中で塀にあたったこと。これで衝撃がいくぶんやわらいだ。あと1つ、これが感動的なのだが、たまたま現場を弁当仕出し店に勤める女性が通りかかって、発止と両手でみごとに男の子を受け止めたこと。さいわい女性にケガはなかった。

 

もし、転落した男児を待ち受けていたのが、コンクリートの塊だったら…。

 

もし、塀にあたらなかったら…。9㍍上から、まっすぐ落下してきたら、男児はもちろん、助けようとする女性のほうも軽いケガていどではすむまい。

 

もし、女性に勇気がなかったら…。

 

男の子にとって、勇気のあった女性はまさしく女神。地面に激しく叩きつけられるはずのその瞬間、思いがけず女神の両腕に抱えられた男児。かれは、肉体的にはもちろん、精神的にも、どれだけダメージから救われたことか。

 

敢然と、落下する男の子へ突進した女性の方に、関係当局はぜひとも、なんらかの形で感謝の意を表してほしいと思う。

 

〔フォトタイム〕

 

八重洲富士屋ホテルその7

これでは、真夏に撮ったのがばれてしまいますが。

 

 

 

アラブ首長国連邦のドバイが苦しんでいる。開発ブームが終わり、振り向けば、おびただしい債務超過。ドバイの凋落は、円高の要因ともなっている。

 

「ドバイが危ない」という情報はずっと前から流れていたが、現在、資金繰りの危機などで予想以上に深刻のようだ。

 

昨年118日付の朝日新聞朝刊「フロントランナー」欄に、ドバイ・ナキール社プロジェクトディレクターの中田光和さん(59歳)が登場した。記事では、<日本のゼネコンを去り、中東初となる砂漠を走るモノレールの建設現場で総勢3500人の多国籍労働者の指揮をとる>と紹介されていた。50代での転職だった。

 

単身、ドバイで暮らす中田さんは、こう語っていた。

 

「ドバイでは給与から税金は引かれず、日本の上場企業の社長クラスの給料をもらっています。でも、責任はたぶん3倍くらい重い。長く海外でやってきた『ものづくり』という点では以前と変わらず、好きなことをしています」

 

すでに不安は感じていた。中田さんによれば、この5年、ドバイはいわば世界最新鋭のジェットエンジンで急上昇をつづけてきたが、乱気流に遭遇した感じで、いかに素早く安全ベルトを締め、水平飛行に入れるかが勝負だと。

 

「いまのドバイの懸念は何ですか」という記者の質問に、中田さんはつぎのように答えていた。

 

「アラブのオイルマネーが潤沢なかぎり、金融危機のダメージは小さい。最大の懸念はテロです。観光客や投資家が逃げれば、『緊急着陸』という事態もあり得る。世界恐慌よりも神経をとがらせているのが治安維持なんです」

 

あれから1年。事態はさらに悪化したが、中田さんは、元気に仕事をつづけているのだろうか。 

 

ドバイの零落を招いたのは、テロではなく、やはり金融危機だった。オイルマネーは、ドバイを見限ったのか。

 

それにしても、ドバイの箱ものづくりは異常だった。人工島リゾートには、世界地図を縮小したワールドがあるというし、ブルジュ・ドバイというビルは高さが800㍍超とか。

 

数年前、是非とも、砂漠にできた夢のような都市を見物したいと本気で考えたこともあった。エミレーツ航空にも関心があった。ドバイ政府が全額出資し、給料の高いところから各国の客室乗務員の憧れの的だったというが、これからどうなるのだろう。

 

〔フォトタイム〕

 

八重洲富士屋ホテルその6

八重洲富士屋ホテル前を左に行けば、有楽町方向です。

 

 

障害者団体むけの郵便割引制度が悪用されていた事件で、大阪地検特捜部に逮捕されたキャリアの女性局長(53)が、ようやく保釈された。逮捕後は、休職あつかい(官房付)で、当然、局長のポストからはずされていた。

 

「えっ、あの人、まだ拘置所にいたのですか」と、驚かれる方もいるのではなかろうか。それとも、あれくらいの事件なら、ふつうなのか。いずれにしても、大阪地検特捜部の取り調べに、元局長は、「知らない」「記憶がない」と突っぱねたのは、たしかなようだ。全面否定をつづければ、拘束も長引く。

 

公判を前にして、記者会見で、潔白を表明した元局長、ほんとうに、なにも知らないのか。それとも、だれかをかばって、シラを切っているのか。はっきりしていることは、自身の公印が押された証明書が存在していること。

 

けさの産経新聞によれば、元局長は、記者会見で、「偽の証明書発行を依頼されたことも、偽造を指示したことも一切ない。早く裁判のなかで真実をあきらかにしてほしい」と訴えたという。

 

事件には、民主党の有力議員の影もちらつく。国民もまた公判で真相が解明されることを望んでいる。

 

元局長は、高知大学を出て、旧労働省に入った才媛。厚生労働省になってからは、障害保健福祉部企画課長もつとめた。そして雇用均等・児童家庭局長にのぼりつめたところで逮捕されてしまった。

 

まさに人生の絶頂期に舞台は暗転し、奈落の底へ。拘置所では、毎晩、どういう気持ちで過ごしたのか。また、拘置所では、どういう本を読んでいたのか。

 

事件の真相はもちろんだが、この女性官僚の、5か月間の心境や、拘置所生活の一端も、できれば知りたいところだ。

 

〔フォトタイム〕

 

八重洲富士屋ホテルその5

JR東京駅は、すぐ近くです。

 

 

来日したオバマ大統領が皇居を訪れた際(1114日)、天皇陛下に深々と頭をさげてお辞儀をしたことについて、アメリカでさまざまな意見がでているようだ。日本では、それほど話題にならなかったが、アメリカではどう思われていたのか。

 

「ニューズウイーク日本版」122日号で、同誌は、米国務省で儀典長をつとめた経験のある2人に意見をきいていた。

 

ヘンリー・カットJr氏(197476年、ニクソン大統領とフォード大統領に仕えた儀典長)の意見

「国家の長たるものは互いに頭を下げるべきではない。オバマはアメリカ合衆国のトップで、天皇は日本のトップ。同じ立場にいる相手に頭を深々と下げるのは、間違っている」

 

ロイド・ネルソン・ハンド氏(196566年、ジョンソン大統領に仕えた儀典長)の意見

「べつにあやまりではない。外交儀礼とは、訪問国の伝統と習慣にしたがうようつとめること。頭を下げるのは、日本では社会的にもビジネス上でも伝統であり、尊敬の表現だ」

 

日本では、圧倒的に後者の意見が多いと思うが、オバマ大統領のお辞儀がていねいすぎたのはたしか。だれかのアドバイスがあったのか、それとも自らの考えであったのか。

 

トップ同士の挨拶でいちばん印象に残るのは、小泉純一郎首相の最初の訪朝で、金正日総書記と会ったとき。双方ともに、まっすぐ前をみて、どちらも1ミリも頭を下げることはなかった。小泉首相は終始きびしい表情。あの場面で05ミリでも頭を下げたり、ちらっとでも笑みをみせたら、どういうことになったか。小泉さんは、将軍様との出会いの場面については、事前にいろいろ考えていたはずだ。

 

天皇陛下とアメリカ大統領との間には、政治的な緊張関係はないし、同じ国家元首といっても、皇室や王室の場合は、やはりちょっとちがうような気もする。

 

ハンド氏もこう述べている。

「イギリス女王の前では、アメリカの大統領たちは頭をさげ、ファーストレディーや女性大使は片膝をまげて、尊敬の念を表現する。ニクソン大統領が昭和天皇に会ったときも、お辞儀をしていたではないか」

 

1971年、ニクソンが昭和天皇と会見した際、頭をさげたことについて、当時の儀典長、カットJr氏は、「わたしは、あれをお辞儀とは呼ばない。ただ体をかがめたにすぎない」と述べていたが、さあ、どうだろう。

 

〔フォトタイム〕

 

八重洲富士屋ホテルその4

八重洲富士屋ホテルの前を右手に行けば、八重洲、大手町、日本橋方面となります。

 

 

 

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