2009年09月

谷垣禎一総裁のもと、自民党の3役が決まった。幹事長、大島理森氏。政調会長、石破茂氏。総務会長、田野瀬良太郎氏という布陣。あたらしい自民党執行部のなかで、将来、トップリーダーとして民主党に代わってふたたび政権を奪還する可能性が高いのは、だれかといえば、谷垣総裁より、むしろ石破政調会長のほうかもしれない。

 

石破政調会長という人事に、15年ほど前に取材した橋本龍太郎政調会長のことを懐かしく思いだした。

 

平成61994)年春、自民党本部の政調会長室を訪れ、橋本政調会長にインタビューした。それまで厚相、運輸相、幹事長、蔵相と要職を歴任してきた橋本氏だが、このときは、野党の政調会長で、やはりどこか寂しげであった。蔵相時代の橋本さんにも取材しているが、そのときとは周囲の雰囲気からしてまるでちがっていた。来客が極端にすくないのだ。

 

「野党になって、よくわかったことはなんですか」というわたしの質問に、橋本政調会長はこう答えた。

 

「たとえば官僚機構ですね。あらためて日本の官僚機構のすごさを実感しました。おそらく最高のシンクタンクでしょう。かれらの力を借りずに手づくりで政策立案をやろうと思いますと、従来の数倍のエネルギーが必要です」

 

「と同時に、その最高のシンクタンクに意外な落とし穴があることもわかった。これまで官僚機構に依存していたために、そうしたものに気づかなかったということですね」

 

意外な落とし穴とは、なんだったのか。「具体的に、なにか?」と、聞いたところ、橋本政調会長は、こう述べた。

 

「昨年(平成5年)の9月にわたしどもは景気対策を組み立てましたが、そのなかに電線地中化の促進という項目があります。われわれは政権党の時代から、都市美観、防災などから電線の地中化をすすめてきました。ところが、その進捗率はけっして高くなかった。なぜ?というのが、もうひとつわかりませんでした」

 

「意外なところに落とし穴がありましてね。要するに、われわれは各省ごとのデータ提供に、それが精緻であればあるだけ依存していたわけです。隣とのつき合わせとか、他省庁の政策と重ね合わせる努力を怠っていたわけですね」

 

「電線地中化がすすまない原因は、つまり空中に電線をぶら下げているほうが安上がりなんです。地下に埋設すると、道路管理者に道路占用料を支払わなければならない。地下埋設のほうが6倍くらい高い」

 

空中使用料と地下埋設に伴う道路占用料との格差を埋めなければ、電線の地中化のスピードはあがらない。そこで自民党は、「道路管理者に対する道路占用料の引き下げ」という提言をした。

 

橋本政調会長は、こういった。

 

「日本の官僚機構は優秀だが、意外に応用問題が解けてないところがある。われわれれは、野党になって非常にいい勉強をしたと思います」

 

石破政調会長にお会いしたことはないが、これは石破さんに伝えたい話のようにも思える。橋本さんがいったように、野党になって、はじめてわかることが、いくらでもあると思う。それらをひとつひとつ頭にたたきこんでおけば、いずれ役立つときもあるはずだ。野党時代というのは、天があたえた絶好の学習期間。その勉強にあたって、政調会長は、またとないポストである。

 

民主党政権は、官僚機構と距離をおこうとしている。ほんとは、もっと近づきたいのだが、ここまで世間に公言してしまうと、おいそれとは、仲良くなれない。こういうときは、遠慮しないで、世界でも稀なシンクタンクを大いに利用したほうがよい。いましばらくは、ひたすらエネルギーをたくわえ、いざというときに備えたらよいのではないか。

 

〔フォトタイム〕

 

JR東中野駅その3

こちらは、都営地下鉄大江戸線の東中野駅です。

 

 

建国60周年を目前にして、中国共産党政権の制度疲労が目立っている。中国の場合、長期にわたった日本の自民党政権よりさらに長いのだから、ほころびがひどいのも、当然かもしれない。その一方で、中国共産党政権が試行錯誤をつづけながらも、なんとか凹凸を是正しようとつとめているのも事実。そこから日本も学ぶべき点があれば、おおいに参考にすべきであろう。

 

最近、NHKで中国に「村官(そんかん)制度」というがあるのを知った。この制度そのものをそっくり見習う必要はないが、その精神は学びたい、と思った。

 

ということで、927日夜に放映されたNHK海外ネットワーク「中国の光と影」でとりあげられた「村官制度」を、あらためて紹介してみたい。ご覧になった方も多いと思うが、このトピックスからわたしは、中国の前向きの姿勢を感じとった。

 

番組によれば、現在、中国では、都市と農村の所得の格差が、平均で33倍もひらいているという。発展が遅れた農村部では、不満が高まり、暴動が相次いでいる。胡錦濤政権は、人口の7割を擁する農村の発展を政権の最重要課題に掲げ、農村に優秀な若い人材を確保しようとしているが、「村官制度」もそのひとつ。

 

「村官制度」というのは、大学を卒業したばかりの優秀な人材を農村に送り込み、農村の発展につなげようと、3年ほど前にはじまった制度だという。この制度では、大学生が卒業時に試験をうけて村官になり、3年間、村役場に勤務する。その見返りとして、任期をおえたあと、公務員になりたい人は、採用試験で優遇措置をうけることになっている。

 

河南農業大学の程伝興書記がいう、「中国共産党の幹部は大学を卒業して、すぐに政府機関で働く人ばかりで、農村のことを知りませんでした。これからの幹部は、農村の考えや農村のニーズを理解する人が必要なのです」。

 

村官は、公務員の登竜門として中国の若者たちの注目を集め、現在、全国で10万人にのぼっているという。河南省の農業大学では、村官を専門に育成する村官学院を去年、開設したとか。

 

村官学院で学生たちは、農作物の栽培から、法律や制度まで、現場で役立つ知識を学ぶ。村官をめざす学生のなかには、任期をおえたあとも農村に残り、農村の発展に尽くしたいと考える人もすくなくないという。

 

中国の場合、大学生の就職戦線のきびしさが、村官制度への関心を高めているのは、まちがいない。しかし、そうであっても、若者の目を農村に向けようという試みは、注目していいと思う。日本でも、若者たちの関心を集めるような、なにか魅力ある農村振興策を考えてほしいものだ。

 

〔フォトタイム〕

 

JR東中野駅その2

何十年ぶりの東中野駅だろうか。昔も、そうたびたび来たところではなかったので、記憶を呼び起こすような風景は、残念ながらどこにもありませんでした。

 

 

けさの日本経済新聞によれば、<中央競馬の藤沢和雄調教師(58、美浦)が27日の中山競馬第8レースをワールドカルティエで勝ち、史上13人目、現役調教師では唯一のJRA通算1000勝を達成した>という。

 

5395戦目の偉業達成であった。競馬界については、ほとんど無知に近いので、これがどれだけたいへんなことなのか、よくわからないが、いずれにしても並みの記録ではあるまい。

 

開業21年半での大台到達。記事によれば、<現役2位の松山康久調教師(66、美浦)は33年半で912勝だから、文字通り無人の野を行く存在いえる>とか。

 

一昨日は中山競馬場にいた。年に12回、大学の同窓の人たちと中山で競馬を楽しむ会があって、いつもまめに参加している。馬券よりも、競馬場の雰囲気が好きなのだ。

 

馬券も買うが、とても自慢できる成績ではない。今回は、第5レースでばっちり的中したのに、なんと1着は進路妨害で失格。まったく、ついていない。

 

 

パドックで競走馬を眺めているひとときがいい。馬券を買うために、馬をみているのではない。みたところで、なにもわからない。だいたい、パドックの見方も知らない。

 

ただ、ぼんやりと出走前の馬をみつめているだけだが、それでも飽きない。どの馬にも、それぞれに個性があって、みな美しい。

 

 

一昨日は、パドックの馬主たちの居場所に近かったので、時折、馬主たちの様子も視界に入ってきた。恰幅のいい、いかにもお金持ちふうの紳士のそばに、美しいご令嬢。彼女のかたわらに夫か、恋人という感じの男性。それに取り巻きたち。自分の馬が通るたびにご令嬢は、ケータイで写真をとり、紳士が目を細めてみている。

 

馬主になったら、エキサイトするだろうなあ。中山には、もう何回も来ているのに、うまれてはじめて馬主になることを夢みた。ほんの230秒ではあったが、優勝したら、いくら貰えるのか、などと。

 

馬主になったら、厩舎にあずけて、それ相当の経費を負担しなければならないのだが、そんなことは一切思い浮かばなかった。夢物語は、コストなしでたのしめるところがよい。

 

〔フォトタイム〕

 

JR東中野駅その1

ずいぶん久しぶりにJR東中野駅で降りました。

 

 

 

 

世界最強の女として、きのうは、レスリング世界選手権(55㌔級)で優勝した吉田沙保里(綜合警備保障)を紹介した。そこで思ったのだが、では、世界最強の男というイメージにふさわしい人物は、だれだろう。

 

最強をどうとらえるかで、ちがってくるが、正解のない問いというのも、それはそれで面白い。

 

時代が、1960年代であれば、文句なしにモハメド・アリをあげたい。年配の人には、カシアス・クレイという名前のほうが懐かしいかもしれない。1960年にひらかれたローマ五輪のライトヘビー級金メダリスト。プロに転向したあとも、とにかく滅法強かった。

 

アリとアントニオ榎木が、戦ったことがある。テレビでみたのだが、最初から防戦いっぽうのアントニオの姿が、いまも記憶に残っている。

 

現代社会では、ウサイン・ボルトはどうだろう。1009582001919の、ジャマイカの稲妻人間だ。

 

最強といっても、なにも格闘技にこだわることはないと思う。秋の運動会でもっとも喝采をあびるのは、ゴボウ抜きでゴールに飛び込むリレーのアンカー。足の早い人間は有史以来、一目おかれてきた。

 

ボルトは、身長196㌢という大型スプリンター。巨体をゆすって駆け抜けていく姿をみたら、獰猛な野生動物でもたちまち逃げだすにちがいない。

 

それでいて、ボルトには、一見ぶっきらぼうのようでいて、そこはかとないやさしさと謙虚さ、そしてユーモアが感じられる。これこそが、パワーだけではなりえない、世界最強の男に求められる条件ではあるまいか。

 

〔フォトタイム〕

 

東京国立近代美術館その7

周辺のオブジェもたのしめる美術館です。

 

 

また強い女の話。とはいっても、きのう書いたフィリピンのイメルダ夫人のような猛女ではない。あるいは、短パン姿で大統領専用機から降り立って物議を醸したミシェル・オバマ夫人でもない。ふだんは、じつにさわやかなスポーツ選手。それがマットに立つと、たちまち無敵の女王に変身する女性のこと。

 

デンマークでひらかれているレスリング世界選手権で、24日、55㌔級の吉田沙保里(綜合警備保障)が優勝した。またまた圧倒的な強さで、7連覇を達成。どの試合も、まったく危なげのないものだったという。

 

以前、あるスポーツ紙は、彼女を「世界最強の女」と評したが、まさにそのとおりといってよい。

 

ふつう、スポーツ選手は、勝って話題になる。しかし吉田沙保里の場合は、負けたときも、メディアは大騒ぎした。記憶している方もおられると思うが、2008119日、119連勝中の吉田が、アメリカの無名の選手に負けたときである。

 

布施鋼治著『吉田沙保里――119連勝の方程式』(新潮社)によれば、吉田の母校、愛知県の中京女子大学レスリング部道場には、翌日のスポーツ紙1面トップが、額にいれて飾ってあったという。スポーツ紙の大見出しは、こうだった。

 

「世界最強の女 吉田沙保里 負けた」

 

この悔しさを忘れないための、栄和人監督の配慮であった。

 

ご存じのように女子レスリングといえば、中京女子大。今回、63㌔級で同校の西牧未央が昨年につづいて優勝した。ちなみに、中京女子大は現在、男子学生を受け入れており、いずれ校名を変更するようだ。

 

〔フォトタイム〕

 

東京国立近代美術館その6

東京国立近代美術館のあちこちに、いくつかのオブジェがありました。

 

 

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