2009年05月

北朝鮮の暴走が止まらない。どうも不可解だ。金正日総書記は、苛立ち、焦っているように思える。なにが、この独裁者を頑なにしているのだろうか。

 

もうひと月以上になるが、朝日新聞に興味深いインタビュー記事が掲載された(422日付朝刊)。同社の若宮啓文コラムニストが、ソウルで韓国の金大中・元大統領に北朝鮮にかんして意見を聞いたもので、つぎのようなやりとりで始まっている。

 

<――北朝鮮がミサイル発射を強行しました。どうみていますか。

 

「北朝鮮の在来式の武器は韓国にくらべて圧倒的に性能が落ち、戦車や飛行機は古いうえ、燃料不足で訓練も十分にできない。だから、核やミサイルの開発で、「お前も死ぬが、おれも死ぬ」という瀬戸際戦術をしているのです。でも、核で国民を食わすことはできないし、米国の核にくらべればほんとうに貧弱だ」

 

「北は米国や日本と国交を結んで安全を保証し、飢えに苦しむ国民の生活を守りたいのです。交渉をしたいのです」>

 

在任中、北朝鮮にたいして太陽政策をとってきた金大中・元大統領への批判は、いまなおすくなくない。ノーベル平和賞受賞にかんしても、評価のわかれるところであるが、それはおいて、このインタビューで述べた元大統領の前段の見方は、的確だと思う。

 

韓国大統領として、最高機密を知る立場にあっただけに、北の軍事力はお見通しである。

 

ただ、後段になると、途端に見方が甘くなる。金総書記が望むのは、独裁体制の「安全を保証」するところにあるが、はたして、どこまで「飢えに苦しむ国民の生活を守りたい」かは、まったくわからない。

 

国家の最高指導者として、本気で国民の仕合せを考えているなら、6か国協議を無視することはあるまい。ブッシュ政権からオバマ政権へと、環境が変化しているのだ。オバマ大統領は選挙のとき、北との直接対話の用意があると述べていた。

 

インタビューには、こんなやりとりも。

 

<――そんなオバマ政権になったというのに、なぜ強硬策を。

 

「交渉の値段をつり上げたかったのでしょう」>

 

たしかに、このインタビューがおこなわれた4月の段階なら、そういえるかもしれないが、その後の核実験もふくめた一連の強硬策は度を越している。

 

この異常なツッパリは、理性ある交渉者のパフォーマンスではない。

 

やっぱり、問題の核心は、北のソトにではなく、ウチにあるのではないか。

 

〔フォトタイム〕

 

三菱一号館その7

東京フォーラムもすぐ目の前で、三菱一号館界隈は、丸の内でも有数の人気スポットとなりそうです。

 

 

経済同友会から、<個人消費社会から時間消費へ>と題した報告書が届いた。クレディセゾンの林野宏社長を委員長とする消費問題委員会のリポートで、興味深く読んだ。

 

個人の消費が低迷している。しかし、だからといって、社会の活気が減速しているわけではない。モノからタイムへ、世の中が変わってきている。駆け足で、「時間の社会」がやってきたのだ。

 

というのは、わたしの報告書の読後感。

 

「時間は金なり」は、ふるくからあった格言だが、「時間の社会」はもっと深化し、個人の生活を変えていくと思われる。

 

報告書には、まず個人消費社会の様変わりをあらわす3つの事例が紹介されている。

 

1、      百貨店の落ち込み

百貨店の販売額は、1991年は約12兆円だった。2008年には、売り場面積は38%ふえているにもかかわらず、販売額は約8兆円に大幅ダウン。じつに深刻な事態になっている。

 

2、自動車販売台数の急減

国内新車販売台数の過去最大は、1990年の約778万台だった。しかし、2008年は、約508万台。1990年とくらべると、約65%に落ち込んでいる。

 

心配なのは、若者の自動車運転免許取得人数の減少。2024歳の免許保有者数は、1997年の約789万人から2007年には585万人と10年間で26%もダウンした。若者の自動車運転免許取得人数の減少は、すでにどこかのメディアが指摘したことなのか。もし、そうでなければ、これはニュースとなる。

 

3、広告市場の変化

広告をしても、モノが売れない、消費者が飛びついてくれない状況がつづいている。テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体は2000年以来、低落傾向にある。急進をみせたインターネット広告も、2008年は前年比953%と減少に転じた。

 

これらが、いずれ劇的によみがえり、華々しく復活することを強く切望したい。

 

さて、報告書は、つぎに「時間」を切り口にして、これからの消費の変化をみていく。

 

そのまえに蛇足をひとつ。

 

同友会の報告書は、どのテーマも、熱心な分析が試みられているのだが、どうも学術的で、無味乾燥というか、味がない。その点、この<個人消費社会から時間消費へ>は、読みやすいほうだ。それでも、読みとおすには、忍耐を要する。したがって、以下は、読みたい方だけが、ご覧いただきたい。

 

時間消費にかんする報告は、大きくは、つぎの3点にわけられる。

 

1、時間価値の増大

仕事や家事の時間が減って、趣味や休養についやす時間がふえている。定年退職した団塊の世代を、「毎日が日曜日」と思ってはいけない。それぞれに、多忙な日々をおくっている。時間を浪費したくないのだ。

 

2、「時間消費」の意味

消費には、選択、購買、所有、使用、保管、廃棄という流れがある。これまでの消費社会では、購買と所有におおきな価値があった。けれども、これからは、生産→消費→再生産という大きな流れを意識した買い物が多くなる。食べものなら、原産地や生産者を気にし、日用品では使いおわったあとに処分しやすいものをえらぶ。

 

3、「時間消費」の類型

(イ)時間娯楽型

余暇にいちばん自分の好きなことをする。これまでも、追求されてきたタイプである。

 

(ロ)時間節約型

食器洗浄機や、洗たく乾燥機。調理に手間をかけない食品。クイック散髪。ネットショッピング。圧倒的な低価格(商品を見比べて選ぶという時間を節約する)など。

 

(ハ)時間重複型

ケータイの高機能化などによって、待ち時間や電車の移動時間が娯楽などに利用されている。

 

(ニ)時間共有型

利用者の使用期間がかぎられている育児・ベビー用品のレンタル、新品や中古品の家具や家電製品のレンタルサービス、海外高級ブランド品の貸し出しサービスなど。

 

(ホ)時間拡大型

企業からみても、商品は販売して終わり、というわけにはいかなくなった。食べものなら、消費者は、生産地から、健康への影響なども考えるようになった。

 

――と、いうことだが、かぎりある時間、時間消費の意味はどうあれ、ゆめ、おろそかにできないと思う。

 

〔フォトタイム〕

 

三菱一号館その6

三菱一号館美術館には、当時のままの2層吹き抜けの空間を活かしたカフェやショップも誕生するそうです。

 

 

 

いまGM株は、いったい、いくらなのか。倒産寸前の会社の株価など、ほとんどの人は興味がないかもしれないが、きのう27日のNY株式市場の終値は、前日比20%安の1・15㌦だったと聞けば、アゼンとする方も多いだろう。

 

あの世界のトップ企業として君臨したゼネラル・モーターズの株が、たった1・15㌦。紙クズ同然というと、1㌦紙幣に申し訳ないが、過去の栄光を思えば、そういいたくなるほどの価値の急落である。

 

「あんなボロ会社が、まだ1株100円の値をつけているほうがおかしい」という見方もあろうが、浮世のはかなさに暗澹とせざるをえない。

 

若いころ、GMのキャデラックということばには、富める者の代名詞のような響きがあったというのに。

 

日米の自動車メーカーの明暗をわけた要因は、いくつも挙げられるが、そのひとつに役員の品格の差がある。

 

日本の自動車メーカー役員なら、どんなに自分の会社が苦境に陥っても、まず手をださないことをGMの役員はおこなった。この一点をみても、品格のちがいの大きさは、歴然としている。

 

GMの役員は、なにをしたのか。

 

自分が退職時に貰う自社株を売ってしまった役員が、何人もいた、というのだ。在職中に売れば、10%の違約金をとられる。かれらは、その違約金を払ったうえで、前倒しで株をうけとり、ぜんぶ売ってしまった。

 

役員たちの持ち株は多いので、当然、株価は下落する。

 

一般株主にめいわくをかけてまで、ドロ船から、われ先に逃げだそうとする役員のいる会社が、沈んでいくのは、必然だったというしかない。

 

〔フォトタイム〕

 

三菱一号館その5

三菱一号館美術館は、地上3階、地下1階で展示面積は約800平方㍍です。

 

 

ひさしぶりにスクリーンでジュリア・ロバーツの、満面の笑みを拝顔した。あいかわらず、あの笑顔は魅力的だ。

 

スパイとスパイが騙し合い、恋をし、挙句に一緒に騙されてしまう、新作サスペンス「デュプリシティ スパイは、スパイに嘘をつく」(トニー・ギルロイ監督)。先日、日比谷のみゆき座でみた。

 

ロバーツの役柄は、クレアという名の元CIAの産業スパイ。からみあう相手も、やはり産業スパイでイギリスの情報機関MI6のエージェントだったレイ(クライヴ・オーウェン)というやり手にしてプレイボーイ。

 

スパイ映画に、濡れ場は欠かせない。41歳とは、とても思えないロバーツのハダカも話題になっている。

 

ロバーツといえば、なんといっても、「ノッティングヒルの恋人」が思い出に残る。あのときのロバーツは、ほんとに光り輝いているようにみえた。あるいは、「プリティ・ウーマン」を思い浮かべる人も多いだろう。

 

「ニューズウイーク日本版」5月20日号によれば、彼女はハリウッドきっての稼ぎ頭。出演作の全米興行収入の合計は23億㌦にたっするという。

 

ロバーツのすごいところは、お客の集まるアクション映画ではなく、ロマンチックコメディーなどで、抜群の興行成績をあげていること。

 

同誌によれば、ロバーツはハリウッドのヒラリー・クリントン。分厚い「ガラスの天井」をやぶり、1作あたり2000万㌦のギャラを手にした初の女優だという。

 

「ノッティングヒルの恋人」のなかに、仲間たちが、それぞれ自分のみじめさを告白しあう場面がある。ロバーツ扮する人気女優は、こう語る。

 

「そう遠くないある日、わたしはきれいじゃなくなって、演技がへたなこともばれてしまう。ただの、哀れな中年女になるの」(と、いかにも、記憶がよいように書いたが、このセリフ、じつは、「ニューズウイーク」誌から拝借)。

 

いえいえ、ロバーツさん、まだまだ、きれいですよ。

 

〔フォトタイム〕

 

三菱一号館その4

復元された建物は、来年4月に三菱一号館美術館としてオープンします。

 

 

けさ(5月27日)の朝日新聞によれば、<中国外務省の馬朝旭報道局長は26日の定例会見で、北朝鮮による2回目の核実験実施について「断固として反対する」とした外務省声明について、「核実験実施後に北朝鮮側に対して直接、中国側の立場を表明した」と語った>という。

 

では、中国側のだれが、いつ、どこで、北朝鮮のだれに対して、抗議したのか。それは、「断固として反対する」といった以外に、どんな内容だったのか。

 

肝心のこれらの点は、なにもわかっていない。

 

推測するに、おそらく、これまでにない厳しい内容であったとは思う。しかし、国交断絶をほのめかすというようなことは論外としても、中国の直接表明に、経済制裁をにおわすとか、相手をドキリとさせる文言があったとは思えない。

 

朝日記事によれば、<(中国外務省の馬朝旭報道局長の)会見では核実験実施前に北朝鮮から事前通知があったかどうかを問われ、馬局長は「中国側は北朝鮮を含む関係諸国と絶え間なく連絡を取り合っている」と回答。直接の言及は避けながら、事前通知があったことを暗に認めた>という。

 

この記事は、重要なところが、間違っている可能性がある。

 

たしかに、中国は、事前に北の核実験がおこなわれるのを知っていた。しかし、北朝鮮から直接、事前通知をうけたかどうかは、はっきりしない。

 

中国は、北朝鮮ではなく、アメリカから北の核実験という重大情報をえたかもしれない。

 

北朝鮮から直接連絡があったのなら、中国外務省の馬報道局長は、回りくどい言い方はしないで、ひとこと「あった」といったはず。

 

日本経済新聞は、きのうの夕刊で、<米政府高官は25日、北朝鮮が米東部時間24日午後9時(日本時間25日午前10時)より前の1時間以内に、時期には言及せずに核実験を実施すると通告してきたと明らかにした。米政府はただちに日本、韓国、中国、ロシアに北朝鮮からの通告を伝達した>と報じている。

 

事前連絡の有無にかかわらず、食うや食わずの北朝鮮のめんどうをみてきた中国は、こんどの核実験で、これまでの警告を完全に無視された。中国人が、もっともこだわるメンツをつぶされたのだ。

 

毛沢東、鄧小平はもちろん、江沢民時代でもここまで舐められることはなかった。胡錦濤主席や温家宝首相が、灰皿を投げるほどに激怒したとは、伝わってこないが、けさの産経新聞が報じているように、中国メディアの厳しい論調が、中国首脳の我慢が限界に近いことを示唆している。

 

さりとて、難民発生はやっかいだ……中国首脳の悩みは深刻にちがいない。

 

〔フォトタイム〕

 

三菱一号館その3

解体から40年を経て、三菱一号館がみごとによみがえりました。

 

↑このページのトップヘ