2009年03月

古来、朝鮮半島の王は、中国の皇帝を仰ぎ見ることが多かった。そういうDNAは、北の将軍様、金正日氏にもしっかりと受け継がれている。

 

とはいっても、将軍様が仰ぎ見る大陸の皇帝は、胡錦濤主席ではない。マオこと、毛沢東にほかならない。言い換えれば、将軍様がお手本としてきた政治の師は、実父の金日成ではなく、マオ皇帝だということ。

 

は、北朝鮮の核戦略をみるだけでもあきらか。毛沢東は、あらゆるものを犠牲にして、核開発を優先し、大国にのしあがるための突破口とした。銃口がすべて、というのは、マオ思想の核心である。

 

けさの日本経済新聞によれば、北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」は3月30日の論説で、現地視察を繰り返している金総書記が、列車に寝泊まりしながら各地を回っている様子を詳しく伝えたという。

 

記事によれば、<現場の激励に全力を傾ける姿勢を強調するもので、「いまや列車で生活して強行軍をおこなうのが習慣になったようだ」との金総書記本人のことばも紹介している>とか。

 

毛沢東もまた専用車で、各地を視察した。専用列車は、寝室も応接室もある皇帝の“走るミニ宮殿”で、マオは、地元が用意した高級ホテルへは行かず、専用車に宿泊することもあった。

 

専用列車に配属された若い看護婦との逢い引きに都合がよいこともあったが、暗殺を逃れる意味合いもあったと思う(前に紹介したように、彼女は、最晩年のマオの秘書となって権勢をふるった)。

 

いずれにしても、マオは、危機管理の面からも、たえず移動して所在をくらましていたのである。

 

北の将軍様も、居場所を転々と変えている、というのは、以前から知られていた。今度の報道で、マオ同様、専用車でも寝泊まりしていた、というのは、はじめて知った。ただ、マオを真似て愛人を伴っているかどうかは、わからない。

 

〔フォトタイム〕

 

日比谷公会堂その2

都心のど真ん中、地下鉄日比谷線、あるいは千代田線の霞ヶ関駅から歩いて3分ほどのところにあります。 

 

 

新聞各紙の世論調査をみると、民主党の小沢一郎代表の辞任を求める声が多い。これは、時を経るにつれて、ふえることはあっても、へることはあるまい。民意というのは、小憎らしいほどに、しつこいのだ。

 

にもかかわらず、肝心の民主党議員の間では、あまり辞任要求が盛り上がっていない。総選挙に影響する重大事というのに、大半が静観しているのはなぜか。

 

理由は、じつにかんたんである。民主党の諸氏は、小沢グループなど、少数をのぞいて事態を楽観的にみているのだ。かれらの胸の内は、たぶん、こんなふうであろう。

 

<小沢さんは、賢い人だ。けっして、政権奪取のチャンスをみすみす、逃すような馬鹿なことはしない。総選挙前に辞任するのは、まちがいない>と。

 

極言すれば、大半の民主党諸氏にとって、小沢辞任のタイミングと後継だけが、関心事である。

 

むしろ、小沢さんが、早く辞めてしまうと困る、と思っている。

 

というのは、新代表を選出したあとに、自民党もトップを換えるかもしれないからだ。そうなると、新鮮味では自民党に劣ってしまう。

 

 

したがって民主党にとっては、いちばん理想的なのは、選挙直前の小沢辞任。選挙戦突入前に、党の顔を換えて、一挙に世論の空気を入れ替えて決戦に臨む。それまでは、小沢さんには、頑張ってほしいのだ。

 

自民党のほうも、小沢辞任を望んでいない。なんとか、総選挙のときも、代表の地位にあることを祈っている。むろん、選挙がおわれば、あとは野となれ、山となれ、であるが。

 

敵も味方も、とりあえずの続投をのぞむなかで、小沢さんへの世間の目は、どんどん厳しさをましていくと思われる。こういうこわばった雰囲気は、政治家としての小沢さんの日々の活動にも影響を及ぼしていくにちがいない。

 

いってみれば、生かさぬように、殺さぬようにといった状態におかれている小沢さんが、かわいそうにみえてしようがない。

 

〔フォトタイム〕

 

日比谷公会堂その1

日比谷公園の一角に、日比谷公会堂があります。ずいぶん、ふるくなりましたが、懐かしい建物です。

 

 

 

政治家の本分は、インターネット時代になっても、演説にある。昔のように、長々と話す必要はないけれど、街頭で聴衆に語りかけるのは、政治家のいわばつとめといってよい。

 

民主党の小沢一郎代表は、28日、千葉県知事選の党推薦候補の選挙事務所を訪れ、運動員らを激励したという。政党のトップが応援にくるというのは、ふつうならば、たいへんな援軍である。

 

しかし、けさの朝日新聞によれば、小沢さんは、事務所に滞在したのはたった5分ていどで、街頭演説もしないで、東京へ戻ったという。

 

小沢さんに、街頭演説をする気がなかったのか。選挙事務所のほうで、あからさまに、党首サイドに、応援演説は結構です、といったわけでもあるまい。自然に、街頭演説はなし、という空気になったのか。

 

あるいは、小沢さんは、もともと街頭演説など、あまりしない人なのか。

 

いぜれにしても、小沢さんの街頭演説なしの風景は、つぎの総選挙でも、予想される。

 

けさの日本経済新聞によれば、小沢さんは、女性スタッフから、「たくさん苦情がきています」といわれ、顔をこわばらせる場面もあったという。

 

小沢さんは、きのう、千葉市に用事があって、その前後に選挙事務所へ立ち寄ったとは思われない。東京から、激励のために来たはず。わずか5分のために往復に何時間か、ついやしたのである。それだけに、女性スタッフのひとことは、身にしみたにちがいない。

 

もっとも、麻生太郎首相また然り。いまのままでは、麻生さんに全国津々浦々から応援演説の依頼が殺到するとは、とても思えない。

 

〔フォトタイム〕

 

グランドプリンスホテル赤坂その7

グランドプリンスホテル赤坂は、都心の一等地にあります。

 

 

 

新聞各紙は、連日、北朝鮮のミサイル発射を大々的に報じている。それだけの重要ニュースであるからだ。しかし、国民の大半は、それほど警戒心も、恐怖心もいだいているようには思えない。

 

鷹揚な国民性なのか。それとも、平和ボケして、安全保障に対して鈍感になっているのか。

 

きのうの産経新聞によれば、社民党の福島瑞穂党首は、26日の参院予算委員会で、迎撃する日本政府の方針について、「迎撃ミサイルが目標に当たったら残骸が落ちる。当たらなくともミサイルは向こう(国外)へ行ってしまう。国内外の市民に被害はないといえるか」と、激しい批判を展開したという。

 

これに対して政府側は、「わが国民の生命財産に被害が及ぶ恐れがあるならば、迎撃は当然だ」(中曽根弘文外相)、「そのまま落ちてきた方が、被害は大きい。宇宙空間で当たれば、燃え尽きてほとんど落ちてこない。まず破壊することで規模を小さくするのが重要だ」(浜田靖一防衛相)と強調。

 

しかし、福島氏は、「当たらない場合は、国益を侵害し、当たった場合でも、人工衛星だったら、どうなるのか」などと、批判を延々とつづけ、野党席からも失笑がもれたとか。

 

要するに、北がいうように、人工衛星かもしれないのだから、莫大な費用をつかって迎撃することはない、ということか。それも、ひとつの考えである。旧社会党は、かつて非武装中立をスローガンとしていた。なにもしないのが、いちばん安全というわけだ。

 

ただ、この論理が苦しいのは、北朝鮮のような国家が、わが国の周辺に存在しないことが前提となっている。もし、万々が一、北のミサイルが、飛んできて、国民に犠牲者が出たとき、非武装中立論は、一挙に暴論となってしまう。

 

北朝鮮は、「人工衛星」の打ち上げだといっているが、そう信じる根拠はどこにもない。やはり、長距離弾道ミサイルとみるべきであろう。北朝鮮にとって、大きなメリットがあるのは、人工衛星ではなく、あくまでもミサイルである。

 

そのほうが、はるかに商売になるからだ。

 

北朝鮮の独裁政権は、こけ脅しで、ミサイル発射を準備しているのではない。北の人民の生活がかかった、本気の国家プロジェクトなのである。真剣度が、ぜんぜん、ちがうのだから、日本国民も、もうすこし真剣になって、この事態に身構えてほしい。

 

〔フォトタイム〕

 

グランドプリンスホテル赤坂その6

満を持して、開花のときを待っている、桜の木もいいものです。

 

 

 

「フォーサイト」4月号を読んでいたら、いま、自民党が麻生太郎首相の下でまとまっているのは、「とりあえず」の結束にすぎないのだという。

 

そういえば、民主党の小沢一郎代表も、「とりあえず」続投しているという感じがしないでもない。

 

一昨日、日本記者クラブで、中川秀直元幹事長の記者会見があった。反麻生の急先鋒といわれる人なので、過激な発言が飛び出すかと期待したむきもあった。

 

しかし、中川氏の発言は慎重で、目立ったのは「5月解散」の提案くらい。とりあえずは、静観の構え、といったところ。

 

昨晩は、自民党を離党した渡辺喜美氏の講演をきいた。激烈な官僚批判はあいかわらずだが、とりたてて注目すべき発言があったわけでもない。こんな「とりあえず」の政界では、仕掛けようもあるまい。

 

渡辺氏によれば、自民党も、民主党もダメで、共産党が伸びるのではないか、という。「蟹工船」ブームで、たしかに共産党に勢いがある。

 

1970年代に、宮本共産党が、大躍進したときがあった。共産党が参加する連立政権構想が本気で語られ、組閣人事まで話題になったものだ。

 

つぎの総選挙で民主党が、過半数に達しない第一党になったとき、どういう連立が組まれるのか。おそらく、現在の志位共産党は、30年前とはちがって、連立政権への参加は、考えていないと思う。

 

そこで焦点になってくるのが、第三極。そのときは、「とりあえず」なんて悠長なことは、いっておれなくなる。むろん、自民党が意外に善戦することもあり得るが。

 

〔フォトタイム〕

 

グランドプリンスホテル赤坂その5

グランドプリンスホテル赤坂の玄関口から撮りました。

 

 

 

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