2008年11月

中学校、あるいは高校の頃、なにか面白くないことが起きると、だれいうともなく、「政府が悪い」と、よくいったものだ。それが口癖になってしまった仲間もいた。そういって、政府に責任を押しつけて、鬱憤を晴らしていたのだ。

 

大学へ入っても、同じようなことをいう学生がいたし、学生運動にも、安易な責任転嫁がみられた。

 

メディアの世界へ就職しても、「政府が悪い」式の言い方が、けっこう多いのに気づいた。その傾向は、本質的には、いまも変わっていない。

 

おそらく、これは世界中どこでもみられることかもしれないが、とりわけ戦後の日本に顕著な現象のようにも思える。その底流には、反権力が、どこか勇ましく、カッコいいという風潮もある。

 

昨今は、政府という漠然としたもではなく、もっと対象を絞った言い方をするようになった。小泉毅容疑者が、「官僚は悪、ゴミだ」といったというが、恐れていたことをやはり口にしていた。

 

こういうのは、ほんとうに始末がわるい。それに唱和し、賛同するものが、かならずあらわれるからだ。

 

今回の容疑者も、はじめは責任転嫁の妄想も、それほどのものではなかったのに、次第にどんどん大きくなって、ついには暴走したのであろう。かれの妄想をふくらませたもののひとつが、一部メディアの情報であったのは、まちがいあるまい。

 

〔フォトタイム〕

 

竹芝桟橋その2

竹芝客船ターミナルです。客船は、ここから三宅島、八丈島などの伊豆諸島、父島や母島の小笠原諸島へ出航します。

 

 

テレビに、最初に映し出された元次官襲撃の容疑者と思われる男は、前を見据えて、傲然とした感じであった。これは、どこからみても確信犯の顔。メディアは、かれのさまざまな奇行を伝えているが、この表情から察して、相手になった人たちは、その執拗さと凶暴な言動に辟易したにちがいない。

 

30代ではないかといわれていたが、なんと、46歳の独身だった。その思考回路には、子どもと大人が入り混じっているようなところがある。未熟なる46歳の、ひとりよがりの破綻人生。この男は、どうして生活していたのだろう。

 

三島事件とは、ぜんぜん、共通性はないけれど、ふと、この人物はどこかで三島由紀夫ふうを気取っていたのではないか、と思った。わざわざ、管轄外の警視庁へ自首したこと。一部メディアへのメッセージ、父親への手紙などから、なんとなく、そんな気がした。

 

三島ファンには、連想することすら、不快なことだが、容疑者の行動には、どこか芝居がかったところがある。そういえば、あすは憂国忌。

 

それにしても、動機がわからない。動機なき殺人、に近いようにも思える。保健所でペットを殺された仇討(あだうち)では、犠牲者が浮かばれない。

 

小泉毅容疑者は、ほかの厚生労働省幹部OBも狙うつもりだったらしい。被害は拡大する可能性があったのだ。ゾッとする話である。

 

テロリスト対策にかけるコスト以上のものを、こういう危険な人物の対策に投じる必要性を感じた。

 

〔フォトタイム〕

 

竹芝桟橋その1

竹芝桟橋のむこうに、レインボ―ブリッジがみえます。

 

 

麻生太郎首相は、なかなか多忙である。こんどは、アジア太平洋経済協力会議(APEC)で、ペルーのリマへ飛んだ。ブッシュ大統領もまた、東奔西走の身。残り少ない任期。一日一日を惜しんでいる感じだ。

 

けさの日本経済新聞に、<麻生首相が望む初の日米首脳会談は、ブッシュ大統領にとって5人目の首相との会談で、最後の会談になる>という記事があった。読み終えて、深呼吸した。

 

なぜ、ここで深呼吸の必要があったかといえば、まったく個人的な事情でしかない。最近、物忘れをすることがある。とっさに名前がでてこない。記事のなかの5人の首相をすらすらといえるかどうか、自分をテストしてみたくなったのである。

 

そこで深呼吸をして、ボールペンを握ってチラシの余白に名前を書いた。なんと一気にスラスラと5人の名前が書けたのである。時間にすれば、1分もかからなかった。これなら、大丈夫だと、ひと安心。

 

しかし、待てよ。もし、とっさに、こう問われたら、スラスラといえたかどうかは、わからない。

 

<では、テストを始めます。ブッシュ大統領は、これまで日本の首相5人と会談しました。1分以内に、その5人の首相を古い順からフルネームでいって下さい>

 

すばやく5人の名前を書けたのは、現職首相から順にたどっていったから。これを古い順から、たちどころにいえるかどうか、まったく自信がない(唐突に質問された場合、ということをお忘れなく)。

 

それにしても、ブッシュ大統領は、任期8年の間に、5人もの日本の首相と付き合っていたのだ。そのうちの半分以上は、小泉さんだから、いまさらながら、日本の首相の短命さには、あきれる。

 

で、5人とは?(正解は、写真の下に)

 

〔フォトタイム〕

 

JR上野駅パンダ橋口その7

上野へ立ち寄ったとき、すこし時間があったら、ここのパンダも訪ねて下さい。

 

   

(正解は、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の5首相です)

 

人事というのは、いつ頃からあったのだろうか。つらつら思うに、人間が群れをなし、そのなかからリーダーが誕生したとき、同時に人事というものも派生したのだろう。

 

リーダーが群れの構成員に、なにがしかの役割分担を命じるというのも、広い意味では人事になる。集団にポストらしいものができ、位(くらい)のようなものができてくれば、ますます人事というものの形も、はっきりとみえてくる。

 

こういう人類の原初から、21世紀の現代まで、官であれ、民であれ、人事というのは、密室できまるもの、そしてそれに従うものというのが、ごく当たり前のことであった。

 

むろん、古今東西、ガラス張りの人事を求める声がなかったわけではないし、人事に異論を唱える例もすくなくない。ただ、あまり、おおっぴらに騒がれることは、そう多くはなかった。

 

それなのに、永田町だけが、人通りの多い公道で、人事をもてあそんでいるふうである。

 

ねじれ国会は、さまざまの新現象をうんでいるが、不同意人事もそのひとつ。つぎからつぎへと、人事案が撤回されているのは、周知のとおりである。官や民で、実際にこんな場面が続出したら、組織はもたないであろう。

 

たしかに、野党の不同意には、納得できるものがないわけではない。弁護士資格をもたないのに、弁護士を名乗る人物の人事案は撤回されて当然である。半面、野党の不同意の理由のなかには、単なるいちゃもんにちかいものもある。

 

それにしても、ノーといわれた人たちには、同情したい面もある。いずれにしても、相当のストレスにちがいない。なりたくて、自分から手をあげたわけでもないのに、「あなたには、その資格がない」、と、公衆の面前で烙印を押されるようなものだから、たまったものではあるまい。

 

〔フォトタイム〕

 

JR上野駅パンダ橋口その6

パンダ橋のたもとは、上野駅の公園口になります。上野の山へ行くときに、お世話になるところです。

 

けさの産経新聞によれば、経営危機に陥ったアメリカ自動車メーカーのトップ3人が、議会の公聴会へ出席するため、会社所有の自家用ジェット機でワシントンへ飛び、一部議員から批判をあびたという。

 

ビッグスリー、いや、もうビッグでもなんでもないのだから、こういう言い方は、これっきりにするけれど、腐っても鯛、青息吐息というのに、いまもジェット機を所有していたとは、驚きだ。

 

瀕死の状態でも会社所有の自家用ジェット機を手放さないのは、多忙な経営者の時間の節約とか、それなりのメリットもあってのことだろうが、考えてみれば、倒産寸前まできた企業に自家用機を所持する資格があるかどうか疑問である。

 

記事によれば、ゼネラル・モーターズ(GM)最高経営責任者(CEO)、ワゴナー会長の自家用機は、GM所有で3600万㌦。本社のあるデトロイトとワシントンを往復するだけで、約2万㌦の費用がかかるという。旅客機でデトロイトとワシントンを往復すれば、ファーストクラスで約840㌦とか。

 

おそらくワゴナー会長には、自家用機の経費と航空運賃との比較など、思いも至らないにちがいない。なにしろ、年収だって、たいへんなものらしい。

 

日本経済新聞(38日付朝刊)は、GMが、3月6日、ワゴナー会長の2008年の給与を220万㌦(約2億3000万円)に引き上げることを明らかにした、と報じている。記事によれば、ワゴナー会長は、業績悪化直後の2006年以降、ボーナスなどを除く給与のカットをつづけており、2007年の給与は、165万㌦だったという。

 

フォード・モーターのムラーリCEOの公私混同ぶりにもあきれた。この人は、週末、デトロイトから自宅に自家用機で帰っているというのだ。経営トップが、会社が左前になっても、こんなことをしていては、株券も紙くずに限りなく近づくのは、当然といえよう。

 

〔フォトタイム〕

 

JR上野駅パンダ橋口その5

文字どおりのジャイアント・パンダです。

 

 

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