中学校、あるいは高校の頃、なにか面白くないことが起きると、だれいうともなく、「政府が悪い」と、よくいったものだ。それが口癖になってしまった仲間もいた。そういって、政府に責任を押しつけて、鬱憤を晴らしていたのだ。
大学へ入っても、同じようなことをいう学生がいたし、学生運動にも、安易な責任転嫁がみられた。
メディアの世界へ就職しても、「政府が悪い」式の言い方が、けっこう多いのに気づいた。その傾向は、本質的には、いまも変わっていない。
おそらく、これは世界中どこでもみられることかもしれないが、とりわけ戦後の日本に顕著な現象のようにも思える。その底流には、反権力が、どこか勇ましく、カッコいいという風潮もある。
昨今は、政府という漠然としたもではなく、もっと対象を絞った言い方をするようになった。小泉毅容疑者が、「官僚は悪、ゴミだ」といったというが、恐れていたことをやはり口にしていた。
こういうのは、ほんとうに始末がわるい。それに唱和し、賛同するものが、かならずあらわれるからだ。
今回の容疑者も、はじめは責任転嫁の妄想も、それほどのものではなかったのに、次第にどんどん大きくなって、ついには暴走したのであろう。かれの妄想をふくらませたもののひとつが、一部メディアの情報であったのは、まちがいあるまい。
〔フォトタイム〕
竹芝桟橋その2
竹芝客船ターミナルです。客船は、ここから三宅島、八丈島などの伊豆諸島、父島や母島の小笠原諸島へ出航します。