2008年06月

また中国の貴州省で暴動があったという。15歳の女子中学生が乱暴のうえ殺されたとみられる事件で、当局の事件処理の仕方に不満をもった住民が大挙して公安(警察)局などを襲撃したという。その数は1万人とも、数万人ともいわわれている。加害者と目される人物のなかに、公安当局の親族がいたらしい。

 

一体、中国では、どのくらいの暴動が発生しているのか。メディアで報道される件数の何倍くらいになるのか。死傷者は出ているのか。暴動の原因はなにか。自然発生的なものなのか、それともだれかに扇動されたものなのか。知りたいことは、たくさんあるが、詳しい実態はわからない。

 

また、暴動が続発するので、こちらも慣れっこになって、数万人の暴動、といわれても、あまり驚かなくなった。しかし、実際に数万人の暴動を目の当たりにしたら、恐怖にかられるにちがいない。半端な数字ではないのだ。一触即発というが、なにかのきっかけで、たいへんな事態になってしまう恐れはつねにある。脛に傷をもつ中国共産党の幹部連中は、枕を高くして眠れないのではあるまいか。

 

毛沢東は、農民をおだてたが、実際には、農民に氷のように冷たかった。そういう中国共産党の体質は、末端の幹部まで伝染していた。いま、かれらはそのツケにおびえている。暴動の要因は、ひとつやふたつではあるまい。さまざまな不満がうっせきしており、きっかけはなんでもいい状態ともいえる。中央指導部が、真剣になって末端の幹部に対しても腐敗防止を呼びかけ、指導を強化しているのも、不満をもつ大衆の怒りが沸騰点近くまできていることを承知しているからにほかならない。

 

〔フォトタイム〕

 

東京国立博物館その1

上野の山の東京国立博物館は、明治5(1872)年に創設されました。明治維新までは、ここに寛永寺の本坊がありました。

自宅に届いた月刊「丸の内」7月号(菱芸出版発行)に、「2010年春、三菱一号館美術館オープン!」「拡がる、深まる、丸の内。またひとつ、新しい魅力が誕生!」というタイトルの記事があった。

 

旧三菱一号館といえば、ジョサイア・コンドルの設計した有名な建築物ではないか。コンドルに関心をもっているので、目をひきつけられた。すでに新聞などで報道されていたのだろうが、まったく知らなかった。

 

月刊「丸の内」によれば、旧三菱一号館は明治271894)年に竣工した丸の内初のオフィスビル。馬場先通りと大名小路が交差する角地に建てられた地上3階、地下1階の赤レンガづくりのビルであった。この歴史的建造物が、同じ場所に、正確に復元されるというのである。

 

さいわい旧三菱一号館の設計図や文献、改修図面、一部の部材などは残っていたが、難題は材料だったそうだ。たとえば赤レンガ。昔ながらに1枚ずつレンガを焼く工場でなければならない。それを上海周辺でみつけ、日本の品質のレンガを焼いてもらうために技術指導などもおこなった。仕上げられたレンガは、約230万個にものぼったとか。

 

復元されたビルは、「三菱一号館美術館」となる。館長には、国立西洋美術館から高橋明也氏が就任したという。この美術館は、すでにフランスのロートレックのポスターやリトグラフなど約二百数十点をコレクションしているとか。これは、すごい量だ。どうやらロートレックが、三菱一号館美術館の顔になるようだ。2年後のオープンが、たのしみである。

 

〔フォトタイム〕

 

歌舞伎座前その7

目と鼻の先の銀座4丁目とは、ちょっとちがう、雑然としたところが、東銀座の親しみやすさともいえましょう。

北朝鮮の金正日総書記は、演出家である。冗談めいていっているのではなく、正真正銘の演出家で、長男ではなく次男か三男に生まれて、金日成の後継者になる必要がなかったら、おそらく映画監督など芸術クリエーターになっていたにちがいない。実際、何本かの映画をつくっているはずだ。

 

平壌(ピョンヤン)から北へ90㌔ほど離れたところにある寧辺(ニョンビョン)は、北朝鮮の核施設があるところ。6月27日午後5時すぎ、その寧辺にそびえていた高さ30㍍の黒鉛減速炉の冷却塔が派手に爆破され、その映像は世界に放映された。

 

 

この日を予期して建てていた、映画のセットまがいのもの、というつもりはないが、それにしてもなかなかの迫力であった。こういうハリウッド的なシーンは、アメリカ人好みだから、ブッシュ大統領も大いに満足したであろう。いずれにしても、演出効果はバツグンであった。

 

聞くところによると、この爆破費用は、アメリカもちとか。ホワイトハウスに確認したわけではないが、もし事実なら金正日監督は、凄腕のプロジューサーでもある。ちなみに専門家によれば、あの程度の冷却塔は、1、2年で再建できるという。

 

〔フォトタイム〕

 

歌舞伎座前その6

東銀座のこのあたりを通るときは、いつも心がはずんでしまいます。通いなれたところなのです。

ローマ帝国の皇帝より権力がありそうなアメリカ大統領だが、実際には弱点がある。そのひとつは任期である。どんなに頑張っても、8年。ロシアのプーチン氏のように、大統領を辞めたあとに、副大統領に自分を格下げにしてまで実権を維持する政治家がアメリカで出現するとは、まず思えない。

 

本来、真の独裁者に任期はない。ヒトラー、スターリン、毛沢東、金日成など、なかには形式的な任期があったケースはあるかもしれないが、実質的にはいずれも終身である。ヒトラーの場合は、自殺ではあるが。

 

終身の独裁者は、強い。北朝鮮の金正日総書記がひとつのサンプルで、アメリカ大統領もたじたじである。今回のアメリカのテロ支援国家指定の解除は、アメリカ大統領の任期という弱みを北朝鮮にうまくつかれてしまった結果、といってよい。

 

任期が残り少なくなったアメリカ大統領は、自分の故郷に建つ記念館のレイアウトや、展示品、業績リストなどが気になってくる。北朝鮮の核にストップをかけることは、大きな業績である。言い換えれば、それはブッシュ政権のあせりでもあり、北のドンの狙い目でもある。しかも、つぎは民主党への政権交代の可能性もあるのだから、北の立場が優勢であるのは、あきらかだ。

 

とはいっても、北の独裁者の高笑いは、ないと思う。国内の状況は、とても笑っている場合ではないのだ。いま、かれらがほしいのは、口約束などではなく、食糧や医薬品、石油、あるいは経済協力、技術協力など、国家建て直しのカンフル剤だ。それらを得るためにもっとも期待できる国は、アメリカではなく日本、ということも、先方は先刻承知である。むろん、拉致問題を無視しての皮算用などありえないが。

 

〔フォトタイム〕

 

歌舞伎座前その5

歌舞伎座の前を、何度、通り過ぎたことでしょう。そのたびに、何度、入りたいと思ったことか。歌舞伎座は、学生時代も、いまもそうかんたんに入れるところではありません。



中国の都市部のデパートで、ひときわ華やかなのが、化粧品コーナーだ。びっくりするほど高価な化粧品が、並んでいる。これだけでも都市部の女性が、どれほど豊かなのか、よくわかる。

 

スーパーなどには、ひと目で資生堂の模倣品とわかる化粧水などが堂々と並んでいる。庶民のブランドへの憧れをねらった、ニセモノのオンパレード。それが大陸の民族性というものなのか、じつにあっけらかんとしたものだ。

 

きのうの産経新聞によれば、模倣品販売で商標権を侵害されたとして、資生堂が中国企業3社とその代表者を相手取り、189万元{約2900万円}の損害賠償と謝罪などを求めて提訴したという。

 

国内大手化粧品が、中国で知的財産権侵害にかんする訴訟を起こすのは、これがはじめてとか。資生堂の提訴は、当然である。むしろ、遅すぎたくらいだ。模倣品は、資生堂製品の4分の1程度の価格で売られているというが、いかにも安っぽいもので、日本のブランド品と勘違いして購入している女性がいるとすれば、気の毒な話である。

 

提訴といえば、作家の渡辺淳一さんが、自作の小説『愛の流刑地』など6作品の中国版が、無断で出版されたとして、北京の出版社を相手取り、著作権侵害で50万元{約750万円}の損害賠償を求める訴えを上海の裁判所に起こしたと、きのうの朝日新聞が伝えていた。

 

以前、東京の大手弁護士事務所に所属する中国人弁護士の話をきいたことがある。そのとき、納得したのは、やっぱり、中国人は罪の意識がうすいのか、ということであった。全部が全部そうではないにしても、あまり悪いことをしているとは思っていない、というのであるなら、どんどん提訴してわからせるしかない。いちいちめんどうではあるが、根気強く、こういうことをしてはいけませんよと、罪の意識を植えつけていく必要がある。

 

〔フォトタイム〕

 

歌舞伎座前その4

海老蔵と玉三郎の看板が、歌舞伎座らしい雰囲気をつくっています。


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