また中国の貴州省で暴動があったという。15歳の女子中学生が乱暴のうえ殺されたとみられる事件で、当局の事件処理の仕方に不満をもった住民が大挙して公安(警察)局などを襲撃したという。その数は1万人とも、数万人ともいわわれている。加害者と目される人物のなかに、公安当局の親族がいたらしい。
一体、中国では、どのくらいの暴動が発生しているのか。メディアで報道される件数の何倍くらいになるのか。死傷者は出ているのか。暴動の原因はなにか。自然発生的なものなのか、それともだれかに扇動されたものなのか。知りたいことは、たくさんあるが、詳しい実態はわからない。
また、暴動が続発するので、こちらも慣れっこになって、数万人の暴動、といわれても、あまり驚かなくなった。しかし、実際に数万人の暴動を目の当たりにしたら、恐怖にかられるにちがいない。半端な数字ではないのだ。一触即発というが、なにかのきっかけで、たいへんな事態になってしまう恐れはつねにある。脛に傷をもつ中国共産党の幹部連中は、枕を高くして眠れないのではあるまいか。
毛沢東は、農民をおだてたが、実際には、農民に氷のように冷たかった。そういう中国共産党の体質は、末端の幹部まで伝染していた。いま、かれらはそのツケにおびえている。暴動の要因は、ひとつやふたつではあるまい。さまざまな不満がうっせきしており、きっかけはなんでもいい状態ともいえる。中央指導部が、真剣になって末端の幹部に対しても腐敗防止を呼びかけ、指導を強化しているのも、不満をもつ大衆の怒りが沸騰点近くまできていることを承知しているからにほかならない。
〔フォトタイム〕
東京国立博物館その1