2008年02月

昔、エコノミックアニマルといって、日本の観光客の豪遊ぶりが、外国でひんしゅくをかっていた時代があった。そういうたぐいの話は、最近は、とんと聞かれなくなった。外国でブランド品をあさっている日本人がいなくなったわけではないのだが、だれも目くじらをたてなくなった。むしろ、いまは、日本で豪遊している外国人のほうが目立っている。いつからか、立場が変わってしまったらしい。

 

2月28日夜に放映された、NHK「クローズアップ現代」は、<新興国富裕層が日本を変える>というのが、テーマであった。いま、アジア大洋州で金融資産1億円以上の富裕層は112万人にのぼり、総資産は520兆円になるという。そういう富裕層のあいだでは、いまメイドインジャパンが、モテモテだ。

 

日本のブランド力が、高い評価を得て、たとえば香港では、佐賀牛がブーム。その輸入は3倍にふえ、佐賀牛人気は、香港からマカオへと拡がろうとしている。中古車市場でも、新興国の買い手が、日本車の価格を引き上げている。新車なら550万円の中古車に、関税や輸送費などを含めて総額1800万円も投じるマレーシアの金持ちがいる。日本で買った、というのが、ひとつのステイタスになっているとか。JTBは、外国の富裕層一人ひとりにきめ細かな対応を考えている。1日15万円の高級リムジン、1日300万円のジェット機、1泊5万円の5つ星のホテル、専用のボディーガードなどなど。

 

昨年、日本へ来た外国人は、834万9000人。過去最高である。近年の特徴は、地方の観光地が人気を呼んでいることで、各地では、リピターをふやそうと懸命だが、「クローズアップ現代」では、長野県白馬村の取り組み方を紹介していた。昨年、オーストラリアから白馬村へ1万人が訪れたという。オーストラリアは、いまは夏。冬の日本でスキーができるのが、魅力となっている。ツーリストの滞在は約1週間。食事は外でたべる習慣があるので、村では、レストランやすし店を回るシャトルバスを走らせている。

 

あるすし店の客は、外国人ばかり。食べ終えたオーストラリア人男性が、1万円札をだして、「おつりはいらない。おいしいものには、おかねを惜しまない」といっているのをみて、なんだか、急にさみしくなった。日本は、どんどん追い越されていくような気分になったのである。

 

〔フォトタイム〕

 

亀戸天神その5

紅梅がきれいでした。菅原道真は、九州大宰府で、紅梅殿の梅をみて、ご存じのように、<東風(こち)吹かば 匂いおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ>と詠みました。

ニューヨーク・フィルハーモニックの平壌公演に、結局、金正日(キム・ジョンイル)総書記は、姿をみせなかった。じつは、もうひとり、演奏会場の東平壌大劇場にあらわれるかどうか、北朝鮮ウオッチャーから注目されていた要人がいる。金総書記の次男、金正哲(キム・ジョンチョル)氏だ。現時点で、正哲氏が会場にいたという情報は伝わっていない。もっとも、いなかった、という情報もまだないのだから、可能性としては残っていることになる。

 

金総書記の息子が、いたかどうかが、なぜ関心の的になるかといえば、NYフィル平壌公演のきっかけをつくったのは、正哲氏という説があるからだ。そうだとすれば、これは後継者問題とかかわってくる話になる。もし正哲氏が、NYフィル平壌公演の実質的な責任者というのが確実なら、兄の正男(ジョンナム)氏を抜いて、後継者への地歩を固めたとみることができるのだ。

 

産経新聞の木村正人特派員はロンドン発で、2月26日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、北朝鮮が英国の超人気ロックギタリスト、エリック・クラプトンさんに来年、平壌で公演するよう招請したと報じた、と伝えている(2月27日付)。たしか、正哲氏は、エリック・クラプトンさんの熱烈なファンだったように記憶している。これもまた、正哲氏の存在感をうかがわせる情報だ。

 

藤本健二著『金正日の料理人』(扶桑社)によれば、正哲、正雲(ジョンウン)兄弟は音楽が好きなようである。また、同書には、ジャガーに乗って高速道路を走る正哲氏をみつけたというくだりがある。著者によると、北朝鮮でジャガーに乗っているのは、金総書記と正哲氏のふたりだけだという。

 

金総書記が、自分の息子を後継者にする確率は、70%前後くらいか。その場合、3人いる息子のなかから、だれを選ぶのか。いまのところ、よくわからないが、いくつかの情報をつなぎあわせると、正哲氏が頭ひとつ浮上しているように思える。

 

〔フォトタイム〕

 

亀戸天神その4

太鼓橋と心字池が、心をなごませてくれます。

アメリカの名門オーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニックが2月26日夕、北朝鮮の首都、平壌の東平壌大劇場で公演した。アメリカの国歌が北朝鮮で演奏されるのは、おそらくこれが初めてであろう。両国それぞれに思惑いっぱいの、いってみれば、政治コンサートだが、そこにはどういう国際政治へのシグナルが読み取れるのだろうか。

 

国際関係においては、ケンカも仲直りも、後から振り返ると、思いがけないきっかけで始まっているのに気づく。もっとも、「思いがけない」と思うのは、なにも知らない人々の感想であって、仕掛け人たちの、周到な準備と読みがあるものだ。半面、ほんのちょっとした働きかけが、とんでもない大変動をもたらすこともある。

 

1972年2月、ニクソン大統領が訪中し、世界をあっといわせたが、そのきっかけは、前の年に名古屋でひらかれた世界卓球選手権だった。6年ぶりに大会に参加した中国の選手団幹部に、アメリカの卓球協会幹部が、さりげなく「中国へ呼んでくれないか」ともちかけたのが、発端だった。毛沢東の即断が、やがてキッシンジャー補佐官の秘密訪中につながり、劇的な米中接近が世界を驚かせることになった。

 

NYフィル平壌公演が、第2のピンポン外交になる可能性は十分にある。というより、すでに米朝接近は、だれの目にもあきらかである。中国の歯軋りを横目に、アメリカのそわそわぶりを金正日総書記は、とっくに承知していて、ときには、つれなく、ときには、流し目も忘れず、焦らしに焦らして、新しい大統領の誕生を悠然と見物している、といったところだ。

オバマであろうと、ヒラリーであろうと、どっちにしたって、北朝鮮は構わない。とにかく老獪なマケインでなければよいのだ。本格的な国交正常化交渉は、新政権でも遅くはない、と、余裕たっぷりのようにも思える。いまは、自分の神秘性を高めておいたほうが得策、という計算かどうか、やっぱり北のドンは、NYフィル公演に姿をみせなかった。

 

〔フォトタイム〕

 

亀戸天神その3

亀戸天神といえば、2月から3月にかけては、梅。そして4月から5月にかけては、藤の花で有名ですね。

あれほど騒がれていた「食の安全」も、イージス艦の衝突事故や、ロス疑惑の再燃などで、なんとなくしぼんだ感がある。しかしながら、一般家庭にとっては、これはエンドレスというか、永遠に無関心ではいられない問題。「週刊東洋経済」2月23日号は、<「食」の戦争>という特集を組んでいるが、そこで気になるデータをみつけた。それは、<世界に依存する日本の食卓――自給率はわずか39%>という項。個々の自給率は、このようになる。

 

トウモロコシの自給率は…〇%

小麦の自給率は…………13%

大豆の自給率は…………5%

牛肉の自給率は…………43%

豚肉の自給率は…………52%

鶏肉の自給率は…………69%

水産物の自給率は………52%

乳製品の自給率は………66%

生鮮野菜の自給率は……79%

 

「週刊東洋経済」によれば、このデータの出所は、農林水産省の2006年度確定値で、食料自給率の平均39%(カロリーベース)は、スイス49%、韓国473%を下回り、先進国で最下位とか。もうひとつ、気がかりなのは、食料によっては、輸入国がほぼ1国、ないし数か国にかたよっていることだ。上記の最大の輸入国とその比率は、つぎのようになる。

 

トウモロコシの最大の輸入国は…米国で96・3%

小麦の最大の輸入国は…………米国で53・8%

大豆の最大の輸入国は…………米国で76・5%

牛肉の最大の輸入国は…………豪州で87・4%

豚肉の最大の輸入国は…………米国で28・4%

鶏肉の最大の輸入国は… …ブラジルで93・1%

水産物の最大の輸入国は………中国で22・4%

乳製品の最大の輸入国は………豪州で28・0%

生鮮野菜の最大の輸入国は……中国で46・4%

 

これはなにを意味しているかといえば、米国、豪州、ブラジル、中国などの間に、なんらかのアクシデントがあった場合、それぞれの食料がストップする恐れがある、ということだ。低すぎる食料自給率には、もうひとつの不安要素がひそんでいるのを忘れるわけにはいかないのである。

 

〔フォトタイム〕

 

亀戸天神その2

「亀戸の天神さま」と親しまれている亀戸天神社は、菅原道真をご祭神としています。

アメリカの警察に逮捕された三浦和義元社長(60)は、いわゆるロス疑惑の銃撃事件で、1審が無期懲役、そして2審と最高裁で無罪という判決であった。いま、ここで事件や公判の経緯を振り返るつもりはない。ただ、あらためて思うのは、無期懲役と無罪の途方もない差である。実際には、1審が死刑で、2審と最高裁で無罪という事例はいくつもある。こういう極端な判決を、プロの裁判官がくだしている事実に戦慄を覚える。

 

経験を積んだ専門家でさえ、180度のちがいが生じるのだから、空恐ろしい。これが裁判員制度では、一体、どういうことになるのであろうか。もしかしたら、自分にも裁判員の要請があるかもしれない。そう思うと、人間の裁きということに、とても無関心ではいられなくなる。

 

三浦元社長の場合、もしアメリカで裁判となれば、陪審員の判断にゆだねられる。日本で無罪の確定した事件を公判にもちこむには、それなりの説得材料がなければ、アメリカの陪審員を納得させることはできない。それにしても27年前に起きた事件が、突然、再浮上したのは、どういうことなのだろう。もっとも唐突にみえる今回の逮捕だが、ロス警察からすれば、それなりの捜査期間をかけてのことだったのか。こんごの展開が注目される。

かつて、某大学で学生相手に話をしたとき、かれらが三島事件を知らなかったので、ショックだったことがある。ロス疑惑の場合は、事件発覚が遅れたことや、その後の報道が長期にわたったので、いまの若者たちにもある程度の知識はあるにちがいない。いずれにしても、日本国民には意表をつかれるような、ニュースであった。

 

〔フォトタイム〕

 

亀戸天神その1

亀戸天神の所在地は、東京都江東区亀戸3-6-1で、JR総武線亀戸駅、あるいは錦糸町駅、もしくは東京メトロ半蔵門線の錦糸町駅から歩いて10数分のところにあります。

 

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