2007年11月

北朝鮮による拉致被害者家族会が結成されたのは、平成9(1997)年3月だった。あれから10年、ずっと代表をつとめてきた横田滋さん(75)が11月24日に退任し、後任に副代表の飯塚繁雄さん(69)が就任した。横田さんは、とつとつとした口調で、拉致の非道を訴え、救出運動を引っ張ってきた。心から、お疲れ様でした、と、労をねぎらいたい。

 

妻の早紀江さん(71)と回った講演は、もう1000回を超えたという。横田さん夫妻の真剣な行動がなければ、ここまで世論は沸騰しなかったし、政府もこれほどまでに積極的にはならなかった。むろん、5人とその家族の帰国もなかった。めぐみさんの救出がいまだに実現していないのは、両親として断腸の思いであろうが、横田さん夫妻のなしとげたさまざまな貢献は、国民栄誉賞にあたいする。

 

その理由は、横田さん夫妻は、国民の命を救ったからである。国家が、莫大な資金を投じて軍隊を組織し、多数の在外公館をおき、インテリジェンスなどに人とカネを惜しまないのは、つきつめていえば、国民と国益を守るためである。それを一個人、一民間グループが、日本のみならず、世界まで動かそうというところまで、運動を拡大できたのは、奇跡に近いのではないか。あと一歩、横田さん夫妻に、朗報が届く日の早いことを念じている。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

11月25日、アキニレ紅葉(秋留台)。

11月26日、メタセコイヤ紅葉(水元)、ツバキ見頃(蘆花)。

11月27日、紅葉見頃(赤塚、善福寺、石神井)。

 

〔フォトタイム〕

 

ベルビー赤坂その7

ショップやレストランなど、赤坂OLがたのしめるスポットのようです。



 

 

ちょうど10年前の平成9(1997)年11月24日、4大証券の一角を担っていた山一証券が自主廃業を発表した。当時の社長の涙ながらの記者会見は、その後、何度も放映されて、いまや歴史的映像になろうとしている。昔、山一といえば、花形の一流企業で、好景気のときはビックリするようなボーナスを支給していた。

 

輝いているところには、人材が集まる。これは、企業にかぎらず、古今東西、普遍的な真理といってよい。山一も例外でなかったのは、会社消滅から10年、元社員の多くが、それぞれの転出先で頑張っていることからも、わかる。人材は、ところを得れば、どこへ行こうとも、光沢を失わないのだ。けさの日本経済新聞朝刊は、元社員の現在を伝えているが、いまも金融の現場で活躍している人が多いという。しかもソニー銀行社長など、経営者として手腕を発揮している人も少なくない。やっぱり山一証券は、人材豊富だった、と、記事を読んで感じた。

それだけの人材を擁しながら、なぜ山一は、傾いてしまったのか。要するに、当時の経営陣や幹部社員が、これらの人材を活用しきれなかったのだろう。経営トップに人を得ていないと、あまたの人材も、しょせんは宝の持ち腐れになってしまう。

 

もちろん、いまだに会社喪失のショックをひきずって、山一健在なら決して味わうことのなかった辛酸に耐えながら、ひっそりと暮らしている人もかなりいるはずだ。それは承知しているが、苦境から立ち直って、今日の地位を築いた人々に対しては、文句なしに敬意を表したい。10年、ひと昔という。いま充実した人生をおくる元社員にとって、あの会社破綻は、遠い日の、ひとつの思い出になろうとしているのだろう。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

11月24日、モミジ紅葉(桜ヶ丘)、紅葉(奥多摩VC)。

11月25日、アキニレ紅葉(秋留台)。

11月26日、メタセコイヤ紅葉(水元)、ツバキ見頃(蘆花)。

 

〔フォトタイム〕

 

ベルビー赤坂その6

赤坂エクセルホテル東急(旧赤坂東急ホテル)側の2階回廊から撮りました。



 

先日、夜の通勤電車のなかで居眠りしていたOLがいた。よくみかける光景で、珍しくもない。彼女の右側は、おとなしそうな男子高校生。左側は、中年の女性であった。居眠り中のOLは、ゆらゆらと左右にほぼ均等に傾いていって、相手にすこしもたれかかっては、はっと、また元に戻るというパターンを繰り返していた。彼女が寄りかかってくるたびに、中年の女性は露骨に嫌な顔をみせて、ひじで押し返していた。かわいそうなのは高校生で、困ったような表情をしていたが、そのうちに席を立ってしまった。たしかに、若者にすれば、これが居眠り姉さんから逃れる、いちばん懸命な方法だろう。

 

とりたてて、なんの変哲もない車内の居眠りの風景だが、そのあとで、ちょっとばかり驚いたことがあった。熟睡していたはずの彼女が、つぎの駅で電車が止まるや、じつに機敏にさっと降りていったのだ。あまりにも鮮やかに目覚めて、何事もなかったかのように颯爽とホームへ降り立った彼女を、すこし離れて立っていた、くだんの高校生もあっけにとられてみつめていた。彼女は、毎日、居眠りを常習とし、そのうちに停車駅で目覚める特技を会得したのか。それにしても、こういう光景が、日常的にみられるのは、日本以外、世界中、どこにもあるまい。電車のなかで居眠りができることを誇りにしたいほどだ。

 

「ニューズウイーク日本版」11月28日号で、イギリス生まれのマイク・ハンドフォード東大大学院准教授(言語学博士)は、<「大いなる居眠り」がきょうも東京を包む>と題したエッセイで、<ロンドンだったら、公共の場で居眠りをするのは、「財布を盗んでくれ」という札をぶら下げているようなものだ。そんな街から東京に来て、日本人がどんな場所でも眠るのを目にしたときは、大変なカルチャーショックを受けた>と、書いている。ハンドフォード先生によれば、日本人の公共の場における居眠りを研究する絶好の場は、やはり電車のなかとか。東京の通勤客の車内での眠りの長さと深さは、ずば抜けているという。さもありなん、である。

 

<何かを読んでいる人以外は、一両丸ごと居眠りしている電車に乗り合わせたことがある。美しい女性たちがよだれをたらし、しゃれたスーツのビジネスマンが座席からずり落ちそうになっていた。見知らぬ他人同士も肩を貸し合い、いまどき珍しい世代間の助け合いを実践していた>

 

なんと平和な光景ではないか。とはいっても、油断大敵。師走にむかってふえてくるのが、乗り過ごしだ。目が覚めたら、とんでもないところにいて、電車もなし。タクシー代が1万円を越えてしまった、なんてことは避けたい。あのOLのように、自分の降りる駅に着いたら確実に目覚めるワザ゙がほしい(それとも彼女は、ケータイの目覚ましをつかっていたのかな)。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

11月23日、大安、勤労感謝の日、小雪。ラクウショウ、メタセコイヤ紅葉(善福寺川)、紅葉見頃(六義園)。

11月24日、モミジ紅葉(桜ヶ丘)、紅葉(奥多摩VC)。

11月25日、アキニレ紅葉(秋留台)。

 

〔フォトタイム〕

 

ベルビー赤坂その5

歩道橋の上から夜景を撮りました。振り向けば、豊川稲荷の方角になります。



 

星3つの8店のどこにも、まだ行ったことがない。いや、正直にいえば、はじめて知る名前ばかりだ。すぐに行ける身分ではないが、店名くらいは覚えておくことにしよう。銀座の小十(日本料理)、水谷(寿司)、ロオジエ(フランス料理)、すきやばし次郎(寿司)。日本橋人形町の濱田家(日本料理)。元麻布のかんだ(日本料理)。白金台のカンテサンス(フランス料理)。三田のジョエル・ロブション(フランス料理)。もう一度、正直に告白すれば、どこか1店でよいから、いますぐ行ってみたい。

 

「ミシュランガイド東京版」が、きょう、発売される。星がついたのは、150店。そのうち60%が日本料理だそうだ。この150店のなかに、行った店があるかどうか、興味がないわけではない。かといって、ガイドブックを買ってまで確認する気もない。それはともかく、この格付けには批判の声も聞かれる。味という微妙な感覚をわずか3人の調査員の舌で測れるものだろうか、という疑問がある。その一方で、おいしい料理と、おいしくない料理が、はっきりとちがうのもたしか。ワイン通でもなんでもないが、先日、大学のクラス会があったとき、級友が、「ワインというのは、値段と味が、まちがいなく比例するね」といったときは、うなずいた。これまでの、とぼしい経験でも、それは当たっていたからだ。

 

いままで食べ物に無関心すぎたと反省しているので、ミシュラン騒動を冷ややかに眺めるのは、止(よ)そうと思っている。星3つには、なにか、そう判定されるだけの価値をそなえているはずで、みたび正直にいえば、ほんとは8店ぜんぶへ行きたい。1年に1店、8年かけてもいいではないか。フェルメールの全作品をみる夢よりは、可能性が高そうだが、こうまで有名になると、予約をとるまでに疲れてしまいそうである。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

11月22日、サザンカ(六義園)、イソギク(百花園)。

11月23日、大安、勤労感謝の日、小雪。ラクウショウ、メタセコイヤ紅葉(善福寺川)、紅葉見頃(六義園)。

11月24日、モミジ紅葉(桜ヶ丘)、紅葉(奥多摩VC)。

  

〔フォトタイム〕

 

ベルビー赤坂その4

いつも急ぎ足で、ここを通り過ぎる人たちは、この建物の壁画に気づくこともないでしょう。

 



けさの新聞ではじめて気づいたが、「週刊文春」は総合週刊誌実売7期連続1位とか。11月29日号の新聞広告にそう打ってあった。ということは、「週刊ポスト」や「週刊現代」は、苦戦しているのだろう。「週刊新潮」もきょうが発売(ところによっては、あす)で、それぞれのタイトルを眺めているだけでも、なかなかに興味深い。そのなかで、目についたのは、「週刊文春」の<テレビを叱るキャンペーン第1弾>のなかの1本、<「ワイドショー」新聞棒読みをやめろ! 梨本勝」>という見出し。大よその内容は、察しがつく。

 

TVキャスターの草野仁(ひとし)さんが、「文藝春秋」12月号で「ワイドショーは死んだ」というショッキングな内幕を語っている。ご存じのように草野さんは、ことしの9月まで14年半にわたって日本テレビの情報番組「ザ・ワイド」の司会を担当していた。このなかで、草野さんは、こう述べていた。

 

<いま多くの番組でおこなわれている、その日の新聞紙面を読み上げるコーナーも、テレビ局の本来のプライドを失わせるものです。テレビ局という大組織で予算もありながら、新聞を読み上げるのは、自分たちの取材力がないと白状しているようなものでしょう>

 

いわれてみると、たしかに新聞をつかって、うまく情報を紹介しているところがある。取材の労も、取材費もなしで、おいしいところをつまみ食いしている、といった感じだ。草野さんも、<最初にはじめたテレビ朝日の「やじうま新聞」は斬新なアイデアだったと思いますが、いまや新聞や雑誌の記事をそのまま紹介してコメントする形式が、多くの情報番組でごく普通になっている。長い目で見たとき、テレビへの不信感につながるかもしれません>と述べている。

 

視聴者にすれば、購読していない新聞のニュースもわかるので、イージーな番組づくりと思っても、不満はないかもしれない。ただ、まるっきり新聞の棒読みでは、草野さんがいうように、テレビのプライドにキズがつく。ひとこと、ふたことのコメントをつけるだけでなく、ときには、すこし味付けに工夫をこらすべきであろう。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

11月21日、モミジ紅葉(善福寺川、和田堀)、イチョウ黄葉(小金井)。

11月22日、サザンカ(六義園)、イソギク(百花園)。

11月23日、大安、勤労感謝の日、小雪。ラクウショウ、メタセコイヤ紅葉(善福寺川)、紅葉見頃(六義園)。

 

〔フォトタイム〕

 

ベルビー赤坂その3

ベルビー赤坂は、東京メトロの経営。銀座線、丸の内線の赤坂見附駅のすぐそばの地下1階、地上9階の駅ビルです。56店舗が、入っています。



 

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