2007年05月

思い切って千葉市美術館へ行ってきた。JR千葉駅東口から千葉市美術館までは、歩いて約15分。この美術館は平成7(1995)年の開館で、立派な市役所の建物のなかに同居している。駆け出し記者の出発点は、千葉支局だったが、当時の市役所はおんぼろだった。それはともかく、お目当ては、「鳥居清長(とりい・きよなが)――江戸のヴィーナス誕生」展。4月28日から始まっていたのだが、なかなか行動に移せなかった(6月10日まで)。

 

NHK教育「新日曜美術館」の「浮世絵美人画の巨匠・鳥居清長」(5月20日放映)をみた方も多いと思う。出品作はぜんぶで267点。清長の作品をこれほど集めた展覧会ははじめてだ。放送でも指摘されていたが、八頭身の江戸美人を描いた清長の浮世絵は、外国人好みで、ずいぶん海外へ流出してしまった。今回の「清長展」も、アメリカの美術館から借りたものが多い。

 

カタログに所蔵先が記されているので、アメリカの美術館から借りた点数を数えてみた。シカゴ美術館51点、ホノルル美術館30点、ボストン美術館23点、メトロポリタン美術館11点で、4美術館を合わせると、115点になる。

 

ほかは個人蔵39点、千葉市美術館18点、神奈川県立歴史博物館15点、山口県立萩美術館・浦上記念館13点、東京国立博物館12点、公文教育研究会8点、平木浮世絵財団8点、礫川浮世絵美術館7点、東京都江戸東京博物館5点、神戸市立博物館3点など。

 

別格は、東京国立博物館所蔵の12点だ。すべてガラスのショーケースの展示で、主催者側の並々ならぬ気の使いようがわかる。じつは、いずれも松方コレクションで、いったん海外に出たものを買い戻した清長の作品である。

 

清長の作品は、しろうと目にも、文句なしにすばらしい。長身の江戸の遊女たちに、外国人がコロリと参ったのも、よくわかる。カタログのなかの絵はだめだが、表紙の帯そのものの写真ならかまわないので、夜の品川遊里の情景を描いた「美南見十二候 七月 夜の送り」(ホノルル美術館蔵)を紹介しよう。

  

廓(くるわ)帰りと思われる、やさ男(左から2人目)は上客なのだろう、ぞろぞろと女たちが送っていく。それなのに若者は、すれちがった美人(右から2人目)にみとれてしまう。その美人にそそぐ、送ってきた女たちの邪険な視線も面白い。

 

<きょう・あす・あさって>

 

5月26日、クスノキ満開(東綾瀬)、ユリノキ(祖師谷・善福寺)、ホウノキ見頃(小山田緑地)。

5月27日、ヘメロカリス、アカンサス開花(日比谷)、イワタバコ(百花園)。

5月28日、サツキ見頃(旧芝離宮)、カワセミ4羽飛来(武蔵国分寺)。

 

〔フォトタイム〕

 

サンシャインシティその6

サンシャインシティには、東洋でもっとも高いビル、世界でもっとも速いエレベーターと、自慢するものがありました。開業30年を目前にして、栄光を取り戻せる、あらたな目玉がほしいですね。



 

昨夜、NHKのテレビニュースは、広島高裁でひらかれた光市母子殺害事件の差し戻し控訴審の初公判を伝えていた。弁護人席に座っている人たちがやけに多い。被告側の弁護人は21人だという。

 

被告は、現在26歳。かれは18歳のとき、光市の若い母(23)と生後11か月の女児を殺害した。けさの産経新聞によれば、弁護側は、被告に殺意はなかったと主張。被害者の女性が騒ぐので、それを制止するために誤ってクビを押さえつけ、死亡させたというのだ。

 

一方、被害者2人の夫であり、父親でもある本村洋さん(31)は、無期懲役の1審判決、2審判決に激しい怒りを表明してきた。加害者に死刑を求める真剣な姿は、テレビでそのつど、放映されたのは周知のとおり。

 

やけに目立つ加害者の弁護人たち。かれらに、ひとり敢然と立ち向かう本村さん。そういう絵柄が、イメージされた。本村さんの背後には、検察側がひかえているのだが、なぜか現実の構図とは、まったく離れて、両者の対決が浮んできた。

 

本村さんは、弁護人たちを、「被告を救うことは手段で、目的は死刑制度の廃止を訴えること。遺族だけでなく、被告さえ利用している」と、激しく批判した。弁護側は、将来にわたって被告をフォローするというが、愛する肉親を殺された本村さんを前にズラリ居並んだ光景は、女性の視聴者からみれば、冷たく映ったにちがいない。

 

加害者だからといって、弁護人の数が多くあってはならない、という規則はどこにもないが、それでもやはり弁護人の数の多さが気になった。これだけの弁護人の手当ては、だれが支払うのであろう。手弁当の人たちなのか。死刑制度の廃止に共鳴する弁護士たちのデモンストレーションなのか。

 

案外、単純な理由で参加した弁護人もいるかもしれない。以前、読んだ朝日新聞の記事を思い出した。2月27日付夕刊の記事で、「ノキ弁」という見出しがついていた。「ノキ弁」とは、軒先弁護士の略。千葉正義記者によれば、新米弁護士が独立するまでの間、先輩の法律事務所に「居候」して給料をもらう「イソ弁」に変わり、固定給なしで事務所の机(軒先)だけを借りる独立採算型の「ノキ弁」が注目されているという。

 

法科大学院の修了者が、ぞくぞくと新司法試験に合格して、弁護士の世界では、人があまり始めている。日本でもっともむつかしい試験に合格しても就職難だという。「ノキ弁」は、就職難対策のひとつである。おそらく「ノキ弁」のなかには、自分の勉強のために、どこへでも顔を出している、若手弁護士も多いはず。むろん、手弁当だ。大きな事件であれば、希望者も多いのではないかと、こんどの公判のニュースをテレビでみながら、あれこれ思うことがあった。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

5月25日、ガクアジサイ(林試の森)、タイサンボク(六義園・武蔵中央)。

5月26日、クスノキ満開(東綾瀬)、ユリノキ(祖師谷・善福寺)、ホウノキ見頃(小山田緑地)。

5月27日、ヘメロカリス、アカンサス開花(日比谷)、イワタバコ(百花園)。

 

〔フォトタイム〕

 

サンシャインシティその5

この複合都市のメインは、やはり商業施設でしょう。地下街、専門店街が軒を連ねています。もう時代は流れて、かつてのような勢いはなくなったようですね。



 

 

NHKのBS1「アジア・クロスロード」のなかで、ときどき放映される香港PHXの討論会は、じつに面白い。当欄でも、折々に紹介したいと思う。5月23日放送のテーマは、「誇大広告の出演者は裁かれるべきか」であった。出演者は、黄海波(司会)、李偉(評論家)、廬深(元CCTVキャスター)、劉寧栄(大学教授)の各氏。かつて日本でも問題になっテーマだが、“偽造天国”中国の場合は、ずっと深刻なものを含んでいるようだ。今回は、討論会でのやりとりのほとんどすべてをそのまま再録してお伝えしたい。

 

司会 商品の価格の内訳は、かつては7割が中身で、3割は宣伝費といわれました。しかし、いまでは、1割が中身で、9割が宣伝費といわれています。しかも、その大部分は、有名人の出演料です。そこで問題なのは、商品が偽りのものだった場合、CMに出演した有名人も責任を問われるのか、ということです。有名人側は、商品は国の認定証があったり、実際に使って効果をたしかめたものなので責任はない、といっています。そこできょうは、「虚偽の広告に出演した有名人は裁かれるべきか」というテーマで討論します。

 

 もちろん、処罰すべきです。ウソの商品を販売しているのであれば、商品を宣伝している有名人も同罪です。処罰の対象になります。両者は、利益を共にする、いわば“利益共同体”です。動機も目的もいっしょだからです。宣伝している有名人だけを見逃してしまったら、懲罰を課せられる業者にとって、不公平じゃないですか。

 

 お互いの立場がちがいます。商品を売っている人と、イメージキャラクターになった有名人をいっしょにすべきではありません。CMに出た有名人は、商品が偽りのものとはわかりません。偽造商品の追放キャンペーンの対象となっているのは、ウソの商品を販売している企業です。広告に問題があった場合は、広告代理店に責任があります。事情を知らない有名人は、無実です。処罰すべきではありません。

 

司会 廬さんは、CMに出演したことがありますか。

 

 ありません。

 

司会 アナウンサーでしたからね。でも、いまはフリーですから、出演できますね。

 

 この問題は、法律などさまざまな角度から考えてみるべきです。ウソの商品のCMに出演しないよう心がけるのは、当然、守るべきモラルです。商品が本物かどうかを確認する義務や責任もあると思います。しかし、できるかどうかは、別問題です。たとえば、以前、ある化粧品のCMに人気女優が出演していましたが、その化粧品の成分が中国国内で問題となりました。この場合、彼女は、商品の品質を自己負担で確認したうえで出演すべきであったでしょうか。そんなことは不可能です。ですから、処罰の対象にはなりえません。CMに出たタレントを処罰すべきではありません。

 

 劉さん、わかりやすい例をあげましょう。わたしとあなたとでコンビを組み、盗みをしたとします。家に侵入したのはあなたで、わたしは見張り役です。かりにあなたが捕まった場合、罰をうけるのは、あなただけではありません。共犯者のわたしも同罪です。さきほど、廬さんは、広告のイメージキャラクターになった有名人は、商品が偽りのものとはわからず、利用される場合もある、といいました。しかし、有名人は実際に商品を使い、「絶対にお勧めです」といっています。映画のなかのセリフのひとこととは、まったくちがいます。キャッチコピーなのか、実体験によるものなのか、見分けがつきません。

 

廬 CMに出ている有名人のほとんどは、与えられた台本をそのまま読み上げているにすぎません。台本の責任をもつのは、広告の責任者です。出演者ではありません。

 

 しかし、有名人による宣伝効果は、とても大きいですよ。

 

 おおげさな表現が、台本に書いてあるんです。

 

李 そうすると、視聴者を誤った方向へ導くCMということになりますよ。香港では、有名人がウソやきたないことばを使うのは、好まれません。

 

 広告に関する規則は、欧米にも中国にもあります。たとえば香港では、お酒のCMを流す回数は、1日何回までと決められています。卑猥なシーンのあるCMには、きびしい罰則があります。今回、問題となったのは、有名人の郭徳綱さんが出演したお茶のCMです。かれは、「このお茶を飲んだら、おなかがへこんだ」といいました。かれは、自分の立場や影響力をよく考えるべきだったんです。しかし、かれがその商品をつくったわけではありませんので、処罰することはできません。もしかりに、CMの出演者が裁かれるなら、CMを流したテレビ局も、同じように裁かれることになりませんか。テレビ局も裁かれるのであれば、CMに出演した郭さんも懲役10年とか懲役20年の刑に処してよいと思います。

 

 “商業詐欺罪”ということばをご存じですか。いま、世の中には健康グッズが氾濫しています。しかし、その宣伝文句の多くが詐欺罪にひっかかっているといわれています。ウソの広告や大げさな広告は、“詐欺行為”にあたります。罪の重大さによって、2年から5年、もしくは3年から10年の懲役、最高で800万円の罰金を課せられます。

 

司会 罰金を払うのは、メーカーですか。出演者ですか。

 

 だれが、詐欺罪に問われるのですか。

 

 CMを流したテレビ局も共犯ですよ。

 

 CCTVもですか。

 

 イメージキャラクターに選ばれた有名人や、そのCMを流した放送局に対しては、いまのところ責任は追及してはいません。しかし、多くの専門家や学者、弁護士は、「責任を追及すべきだ」と主張しています。ここにいる皆さんは、アメリカの事情にくわしいと思いますが、アメリカでは、ウソの宣伝などによる詐欺は、1件につき425万ドルもの経済損失をもたらします。詐欺がおこなわれ、発覚するまでの平均日数は、180日です。その間、多くの人が騙されているわけです。中国でも、似たようなことが起きています。広告に関する規則には、処罰の規定はないかもしれませんが、刑法にはありますよ。

 

≪ここで司会者が、視聴者からのアンケートなどを披露≫

司会 きょうのテーマは、「虚偽の広告に出演した有名人は、裁かれるべきか」です。視聴者の投票の結果は、処罰すべきが87%、処罰すべきでないが12%です。ここで視聴者からのメールをみてみます。

 

「道義的な責任だけでは軽い。盗みを働いた人を痛い目にあわせなければ、だれもが泥棒をする」

「多額の謝礼をうけた以上、逃げるのは卑怯だ」

「ウソの広告がうみだす悪影響に対し、有名人は責任を負うべきだ」

「堅苦しい責任追及論には、反対だ。責任はあるが、市場原理にまかせて責任を取らせればよい」

「芸能人ばかりを責めるのはどうか。行政はなにをしているのか。税金泥棒だ。芸能人も納税者である」

「虚偽の広告にかかわる人は、どんな人であろうと、同罪だ」

「有名人は、広告に出演しただけだ。商品の真偽を区別するゆとりなどない」

 

≪討論会再開≫

司会 ウソの広告に出演した有名人は、自分のファンをだましたことになり、イメージにも傷がつきます。これで罰をうけたことになりませんか。

 

劉 十分に罰をうけていると思います。CMに有名人を起用するのは、その影響力で消費者の購買意欲を高めるためです。しかし、問題を起こすと、その有名人の信頼性など、イメージに傷がつき、その後の仕事にも影響します。また、きょうの議論では、公的な責任まで言及していますが、自分が宣伝する商品が本物かどうか、確認するのは不可能です。たとえば李さんが、この商品は本物ですよ、といっても、わたしは確認できません。それなのに宣伝をしたからということで法的な責任をわたしに負わせるとしたら、おかしな話です。一方、飲めばやせるというお茶は、実際にはやせないので、あきらかにウソの商品です。法律というのは、個別に対応するものではなく、普遍的なものです。ですから、慎重に考えるべきです。

 

 わかりやすい例をあげましょう。劉さんに1時間530万円でうちの大学の講義をお願いしたら、ひきうけてもらえますか。

 

 そんな金額でひきうけたことはありません。せいぜい30万円です。

 

李 いえいえ。お金の出どころをわからなくしたいので、そのうちの120万円をバックしてもらえたい、ということなんです。

 

 そんな話は、ひきうけませんよ。

 

 つまり有名人は、莫大な宣伝報酬をもらっているのですから、自分が宣伝する商品の中身についても、ちゃんと調べる義務があるのです。

 

 商品だけではなく、お金の出どころも調べるべきだとおっしゃりたいんですね。

 

 お金をもらっている以上、当然です。

 

司会 郭さんのお茶の件ですが、こんなことは考えられませんか。かれがうけとったものは、ほんとに効き目のあるものだった。でも、市場で販売されたものは、別物だったとか。そうだとしたら、郭さんに責任がありますか。

 

 有名人の実名は伏せておきましょう。

 

司会 個人的な考えでけっこうです。

 

 かりに、「このダイエット器具は、ほんとに効きます。わたしは1週間で5キロやせました」とテレビでいわれたら、これは体験談だと、真に受ける視聴者もいます。

 

 出演者のセリフは、ほんとにあったことと、思っているのですか。CMプランナーの創作ですよ。

 

 問題は、そこなんです。マスコミは、ウソを伝えるべきではありません。一度、視聴者を欺いたら、それ以降、信用されなくなります。全人代の報道がウソだと思われたら、困りますよね。

 

劉 中国でおこなわれている商品の販売や広告で、いまいちばん問題となっているのは、商品のほとんどが偽物だということです。偽物が横行しすぎて、法律ではどうにもならないという問題です。香港や台湾の人々は、買い物をするとき、中国製品を避けているそうです。ここまでひどくなると、法律がきちんとしているかどうか、ということだけではすみません。中国人のモラルがさがっていることが、問題なのです。

 

 だから制裁すべきなんです。

 

 アメリカでは、広告業界の管理・監督も行き届いています。広告のことばの使い方も厳格に規定しています。中国でも、広告に関する規則がつくられましたが、現場での運用には、まだ問題があります。管理・監督をさらに強化していくべきだと思います。

 

 それにはまず、諸外国の例を参考にすべきです。CMの内容やことばの使い方には細かい規制があります。いまの中国では、小学生がテレビをみる時間帯でもお構いなしに、性に関連する商品を宣伝しています。それを宣伝している有名人だけに責任を負わせるのは、理不尽です。信用をなくすなど、十分な代償を払わされています。また、メディアも偽物の商品広告を流せば、視聴者はその放送局にチャンネルを合わせなくなります。法律で裁かなくとも、責任は負わされているのです。

 

 劉さんの意見は、まちがっています。ただより高いものはない、とよくいいます。ある有名人が、1500万円である商品の広告に出たとします。あとになって、それが誇大広告だと判明したら、罰せられるのは広告会社だけというのは、不公平です。

 

 マイケル・ジャクソンはコーラを飲まないのに、CMで美辞麗句を並べ立てました。視聴者から飽きられ、信用を失い、メーカーもダメージをうけましたよ。

 

 そこで補足したいことがあります。広告の出演料は、その労力に対する報酬であって、広告の正しさを保証するものではありません。誇大広告で罰金を取られるなら、そのとおりの効果が保証された広告にはボーナスを出せますか。

 

李 それは出演料に含まれているはずです。

 

 出演料は、撮影で働いたことの対価なのです。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

5月24日、大安。アジサイ・シャクナゲ(大泉中央)、アカメモチ赤い新葉(雑司ヶ谷)。

5月25日、ガクアジサイ(林試の森)、タイサンボク(六義園・武蔵中央)。

5月26日、クスノキ満開(東綾瀬)、ユリノキ(祖師谷・善福寺)、ホウノキ見頃(小山田緑地)。

 

〔フォトタイム〕

 

サンシャインシティその4

サンシャインシティは、巣鴨刑務所(のちの東京拘置所)跡に建設されました。7人のA級戦犯が処刑されたのもここです。サンシャインシティに隣接し、現在は、豊島区立東池袋公園となっているところの一隅に「永久平和を願って」と題された碑があります。碑の裏側には、「第二次世界大戦後、東京市谷において極東国際軍事裁判所が課した刑及び他の連合国戦争犯罪法廷が課した一部の刑が、この地で執行された。

戦争による悲劇を再びくりかえさないため、この地を前述の遺跡とし、この碑を建立する。昭和五十五年六月」と、刻まれていました。



 

5月23日の産経新聞によれば、東京都中央卸売市場・築地市場(中央区)で、毎日約500人も訪れる外国人観光客の見学を制限する動きが出ているという。競(せ)り場でマグロに手でさわるなど、マナーのわるさが目立ち、業務に支障が生じてきたからだ。市場側は、このまま改善がみられなければ、部分的に立ち入り禁止エリアを設けるなどの対応を検討する、と内藤慎二記者は伝えている。

 

記事をつづければ、築地市場に平成18(2006)年に、書類を提出して見学に訪れた外国人は1144人。しかし、実際は、書類なしに毎日500人は来ているという。外国人の数が飛躍的にふえたのは、ここ4、5年のことで、背景には「すしブーム」があるとみられている。

 

押し寄せる外国人たちに市場側がめいわくしているのは事実だと思うし、かれらの出入りを規制したい気持ちもわかる。ただ、願わくば、あまり制限をきびしくしないでほしいとも思っている。というのは、わたしも外国へ行って、その土地の朝市へ出かけるのをたのしみにしているひとりであるからだ。中央市場へも行ったが、それは買い物のできるコーナーだけで、築地の競り場のようなホットなところはみたことがない。そういうところを公開している築地が、観光スポットとなって、日本を代表する名所となっているのは、当然であろう。

 

「ニューズウイーク」日本版5月23日号に、ハーバード大学のテオドル・ベスター教授が、「ローカルでグローバルな築地と恋に落ちて」と題した一文を寄せ、初めて築地の内部をみたときの感動をこう記している。

 

<ある日、近所の寿司店の板前さんに早朝の場内市場を案内してもらった。そして「本物」の築地に触れることになった。わたしはたちまち魚に夢中になった。なにしろ海から1300キロも離れたイリノイ州で育ったため、子どものころに本物の魚をみた記憶がなかった>

 

<けれども、それ以上に目を奪われたのは、人々が生み出す熱気だ。そこは職人による職人のための市場だった。新参者のわたしにも、商人たちの「技」と誇りの高さは伝わってきた。「らっしゃい!」「まいどっ!」「先日はどうも!」。江戸っ子のべらんめえ調が響きわたり、せり人はスタッカートで叫ぶ(当時はひと言も聞き取れなかったが)。みればみるほど、聞けば聞くほど、わたしはこの未知の世界に引き込まれていった>

 

このように外国人を魅了する築地。いずれ築地市場はほかへ移転することになるが、それまではなるべく外国人の出入りを規制しないで済む方法を、関係当局も、旅行会社も、外国人観光客を築地へ案内するガイドも、考えてほしい。築地と恋におちる外国人たちのためにも。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

5月23日、春のバラ見頃(旧古河)、アカコッコ繁殖期で観察しやすい(八丈)。

5月24日、大安。アジサイ・シャクナゲ(大泉中央)、アカメモチ赤い新葉(雑司ヶ谷)。

5月25日、ガクアジサイ(林試の森)、タイサンボク(六義園・武蔵中央)。

 

〔フォトタイム〕

 

サンシャインシティその3

サンシャインシティは、サンシャイン60を中心に複数のビルで構成されています。そのなかにプリンスホテル、古代オリエント博物館、水族館、スターライトドームなどがあります。








かねがね中国の共産党政権は、もう北朝鮮に対して堪忍袋の緒が切れる寸前まできているのではないかと思っていた。最近、孔子第75代の直系子孫という、孔健氏(チャイニーズ・ドラゴン新聞社編集主幹)が書いた、『中国だけが知っている金正日の真実』(幻冬舎)を読んでいて、面白い記述に出くわした。中国人は、日本人が想像もできないくらい、北朝鮮に怒っているというのである。党や国家の幹部だけでなく、一般の中国人もそうだという。

 

中国は、北朝鮮のなにに怒っているのか。孔健氏は、雑誌『看中国』(2006年10月号)に載った、「金日成・金正日親子の20の大裏切り」という記事の項目を引用している。一読して、やっぱりそうか、と思った。この理由を紹介したい。カッコのなかは、わたしの感想である。

 

1、  中国が主催する6者会談をぶち壊し、核実験を強行した。日本、韓国に核武装、アメリカに海外派兵の口実を与えた(やっぱり中国は、日本の核武装を気にしている。これは外交カードになる)。

 

2、  ミサイルを発射し、中国は北朝鮮の盟友であるという国際的イメージを大いに傷つけた(メンツ丸つぶれ)。

 

3、  中国が北朝鮮に派遣した急使を公然と拒否し、中国のメンツを損ねた(唐家琁、武大偉らは冷たくあしらわれ、金正日にもっとも信頼されている戴秉国ですら会えなかったことがある)。

 

4、  災害を口実に中国から巨大な援助を引き出し、民生用ではなく、ミサイルや核開発など軍事用に振り向けた(むしり取られていたのは、日本だけではなかった)。

 

5、  大量の難民を中国領内に侵入させ、中国の負担を増大させた(中朝の国境線は1400キロもあるので、中国にとって、難民問題が最大の難問)

 

6、  中朝国境付近に多くの賭博場を開設し、中国人顧客から大量の外貨を奪った(北朝鮮のカジノは、沖合の小島にあって外国人専用。北朝鮮の人々は近づけない)。

 

7、  中朝国境を越境し、北朝鮮軍人が近隣の住民にたびたび強盗行為を働いた(国内で略奪のかぎりを働いていた北朝鮮軍人は強盗の出稼ぎに出かけているようだ)。

 

8、  中国に麻薬や偽札(人民元)をもち込み、経済に悪影響を与えている(経済どころの話ではない。中国の若者が麻薬でむしばまれている)。

 

9、  中国との貿易で、支払いをきちんとおこなわず、政府・民間に不信感を増大させた(外貨がないのだから、払えない)。

 

10、2000年の北京オリンピック開催に反対票を投じ、中国のオリンピック開催を8年間遅らせた(ヘエー、そうだったの)。

 

11、中国と韓国との国交回復を何10年も反対し続け、中韓貿易の拡大を妨害した(ま、北にすれば、「中韓国交回復、そりゃないよ」であろうが)。

 

12、中国に事前の相談もなく、金大中前韓国大統領との南北会談を実施した(小泉訪朝もアメリカに直前に知らせたけれど、事前の相談はなかった)。

 

13、朝鮮戦争時の中国志願軍の評価を低くし、歴史的な中国の朝鮮支配を強調するなど、北朝鮮の歴史教科書を反中国に改ざんした(ほう、そうですか)。

 

14、封建的な独裁体制を築き、中国の文化大革命と同じ過ちを繰り返した(目くそ鼻くそ)。

 

15、中国の改革開放政策を、社会主義をゆがめる「修正主義」と批判し、ロシア(旧ソ連)にすり寄り、中国と対立した(わざわざ金正日に上海や深圳をみせたが、効き目がなかった)。

 

16、朝鮮戦争で戦死した毛沢東の子息、毛岸英の記念堂ならびに墓を破壊し、数10万の中国人兵士の英霊をさまよわせた(北朝鮮に毛岸英の記念堂があったというのは初耳)。

 

17、中朝国境の白頭山一帯を「朝鮮固有の領土」と主張するなど、領土問題をむし返した(本当はロシア生まれだが、金正日の生誕地とされる白頭山は、北朝鮮にとってエルサレムのようなところ。聖地というのは、いずこも紛争地になりやすいようだ)。

 

18、50年代に中国でともに戦った朝鮮共産党の同志を一網打尽に捕らえ、粛清した(中国は、ずいぶん昔のことも忘れていない、ということか)。

 

19、北朝鮮の増産運動である「千里馬運動」動員のため、50年代末、中国東北部の朝鮮族の人々を国境を越え、入朝させた(北京政権は、中朝国境近くに住む200万人の朝鮮族の動向につねに神経をとがらせている)。

 

20、朝鮮戦争に中国を引っ張り込み、アメリカと直接対決させ、中国の発展を何10年も妨げた。さらに台湾との統一も妨害した(なるほど、なるほど)。

 

北朝鮮に対する中国の怒り、不平、不満は改善される兆しは少なく、これからも金日成、金正日憎しが、どんどんエスカレートしていくように思える。

 

<きょう・あす・あさっての見頃の草花>

 

5月22日、ヤマボウシ開花(府中の森・東綾瀬・雑司ヶ谷)。

5月23日、春のバラ見頃(旧古河)、アカコッコ繁殖期で観察しやすい(八丈)。

5月24日、大安。アジサイ・シャクナゲ(大泉中央)、アカメモチ赤い新葉(雑司ヶ谷)。

 

〔フォトタイム〕

 

サンシャインシティその2

サンシャインシティの所在地は、東京都豊島区東池袋3丁目。JR池袋駅から歩いて8分。東京メトロ有楽町駅の東池袋駅から徒歩3分です。



 

 

 

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