思い切って千葉市美術館へ行ってきた。JR千葉駅東口から千葉市美術館までは、歩いて約15分。この美術館は平成7(1995)年の開館で、立派な市役所の建物のなかに同居している。駆け出し記者の出発点は、千葉支局だったが、当時の市役所はおんぼろだった。それはともかく、お目当ては、「鳥居清長(とりい・きよなが)――江戸のヴィーナス誕生」展。4月28日から始まっていたのだが、なかなか行動に移せなかった(6月10日まで)。
NHK教育「新日曜美術館」の「浮世絵美人画の巨匠・鳥居清長」(5月20日放映)をみた方も多いと思う。出品作はぜんぶで267点。清長の作品をこれほど集めた展覧会ははじめてだ。放送でも指摘されていたが、八頭身の江戸美人を描いた清長の浮世絵は、外国人好みで、ずいぶん海外へ流出してしまった。今回の「清長展」も、アメリカの美術館から借りたものが多い。
カタログに所蔵先が記されているので、アメリカの美術館から借りた点数を数えてみた。シカゴ美術館51点、ホノルル美術館30点、ボストン美術館23点、メトロポリタン美術館11点で、4美術館を合わせると、115点になる。
ほかは個人蔵39点、千葉市美術館18点、神奈川県立歴史博物館15点、山口県立萩美術館・浦上記念館13点、東京国立博物館12点、公文教育研究会8点、平木浮世絵財団8点、礫川浮世絵美術館7点、東京都江戸東京博物館5点、神戸市立博物館3点など。
別格は、東京国立博物館所蔵の12点だ。すべてガラスのショーケースの展示で、主催者側の並々ならぬ気の使いようがわかる。じつは、いずれも松方コレクションで、いったん海外に出たものを買い戻した清長の作品である。
清長の作品は、しろうと目にも、文句なしにすばらしい。長身の江戸の遊女たちに、外国人がコロリと参ったのも、よくわかる。カタログのなかの絵はだめだが、表紙の帯そのものの写真ならかまわないので、夜の品川遊里の情景を描いた「美南見十二候 七月 夜の送り」(ホノルル美術館蔵)を紹介しよう。
廓(くるわ)帰りと思われる、やさ男(左から2人目)は上客なのだろう、ぞろぞろと女たちが送っていく。それなのに若者は、すれちがった美人(右から2人目)にみとれてしまう。その美人にそそぐ、送ってきた女たちの邪険な視線も面白い。
<きょう・あす・あさって>
5月26日、クスノキ満開(東綾瀬)、ユリノキ(祖師谷・善福寺)、ホウノキ見頃(小山田緑地)。
5月27日、ヘメロカリス、アカンサス開花(日比谷)、イワタバコ(百花園)。
5月28日、サツキ見頃(旧芝離宮)、カワセミ4羽飛来(武蔵国分寺)。
〔フォトタイム〕
サンシャインシティその6
サンシャインシティには、東洋でもっとも高いビル、世界でもっとも速いエレベーターと、自慢するものがありました。開業30年を目前にして、栄光を取り戻せる、あらたな目玉がほしいですね。