2007年04月

先日、テレビで中国の自動車ショーを放映していました。見慣れた車体で、中国車といっても、日本車のコピーであることは、だれがみても明らかでした。ここまでソックリさんだと、怒りの前に笑いが先にきてしまう。デザインを盗んでも、後ろめたいといった感覚は全然ないのでしょう。テレビでは、「むしろ、中国では、(ホンモノに)似ているほど、いいといわれています」と、説明していました。知的所有権など、どこ吹く風のお国柄。最近、読んだ本の一節にも、同じような話がありました。

 

太田文雄著『インテリジェンスと国際情勢分析』(芙蓉書房出版)で、著者は元防衛庁情報本部長。インテリジェンスの現場と理論の両方に精通している人ですね。同書の「軍事技術スパイ」という項で、中国空軍の国産の最新鋭戦闘機J-10について、著者はつぎのように述べていました。

 

<J-10戦闘機は元々イスラエルの「ラビ」という戦闘機をモデルに開発しようとしたのですが、米国が中国への技術提供に関しイスラエルに圧力をかけました>

 

<出来上がったJ-10の写真を見ていただければわかりますが、コックピット部分は米国のF-16に、尾翼部分は国際共同開発されたトーネード攻撃機に、前翼部分はユーロファイター戦闘機に極めてよく似ています。これが何を物語るかについては読者の判断にお任せしたいと思います>

 

さいごは、思わせぶりな表現ですが、あらためて説明するまでもないと思います。それにしても、軍事スパイを動員して戦闘機まで真似てしまう中国のコピー感覚、盗用への罪悪感のなさは、やはり大きな問題です。ここは各国が足並みを揃えて、盗用をみつけた時点でそのまま黙視しないで、その都度マメに抗議の声をあげて歯止めをかけるべきですね。

 

<きょう・あす・あさっての開花・見頃の草花>

 

4月30日、ユキヤナギ開花(秋留台)、フジ見頃(殿ヶ谷戸・旧芝離宮・赤塚)。

5月1日、大安。カイツブリ営巣、冬鳥去る(清澄庭園)、ホウノキ開花(府中の森公園)、ハナミズキ開花(秋留台)。

5月2日、オオヨシキリ飛来(葛西臨海)、フジ見頃(殿ヶ谷戸・祖師谷)、バニバナトチノキ開花(舎人)。

 

〔フォトタイム〕

 

財務省その1

霞が関の官庁街の中心に位置するのが、財務省です。国会議事堂の前方に、道路を隔てていますが、外務省と並んで建っています。



 

『外交フォーラム』5月号に掲載された東大法学部・北岡伸一教授の「日中歴史共同研究の出発――事実の探求に基づいて」を興味深く読んだ。周知のように、北岡教授は、前国連大使であり、日中歴史共同研究日本側座長でもある。北岡教授は、ニューヨークにいて、中国が歴史カードをたくみにつかって、日本外交を妨害するさまを肌で感じてきた。

 

北岡教授は、「日中間の歴史認識は同じではありえないが、両国のきちんとした歴史家が話し合って、歴史認識のどこが違い、どこが同じか確認しておけば、そうした歴史カードはある程度防げるのではないかと、従来以上に考えるようになった」という。日中の歴史家同士の話し合いは、じつに困難をともなうと思うが、教授の考えに同感である。事柄の性質上、一挙にコトが運ぶようなものではないけれど、一歩一歩、カメの歩みでもよいから、絡んだ糸を解きほぐしていくしかあるまい。そのチャンスは、いまという感じがする。以下の北岡リポートも、それを示唆している(引用部分のうち和数字は洋数字にあらためた)。

 

2005年春の大きな反日運動の後、中国の変化を感じたのは同年秋である。胡錦濤国家主席は9月3日に行なった戦勝60周年の記念演説で、日中戦争下の抗戦態勢について次のように述べた。

「中国国民党と中国共産党が率いる抗日部隊は、敵の正面と背後の作戦任務を分担し、共同して日本の侵略者に抵抗する戦略態勢を構築した。国民党の軍隊が主役となった正面の戦場では大規模な作戦が展開された…‥中国共産党が率いた敵後方の戦場では広範の大衆を動員してゲリラ戦が繰り広げられた」>

 

胡錦濤主席の歴史認識はまだまだ甘く、真実からは遠い。抗日戦のとき、共産党部隊はなにをしていたのか。ありていにいえば、ほとんどは洞ヶ峠を決め込んでいたようなものだが、ここではそういう批判はひとまずおいて、胡錦濤主席の一歩踏み込んだ、歴史認識の変化に注目したい。北岡教授もつぎのように述べている。

 

<盧溝橋に続く上海、徐州といった大戦場の主役が、八路軍など共産党部隊ではなく、国民党の正規軍だったことを国家主席自らが認めたのである。それは、国民党、台湾政策への配慮からなされた面もある。しかし中国に新しい動きが出てきていることは確かであり、何か可能性が開けているのではないかという印象をもった>

 

この程度の歴史認識の変化は、日本の歴史レベルからいえば、さほど驚くほどではないかもしれないが、中国の体質を考慮すれば、大きな飛躍である。

 

<中国における歴史問題の難しさは、言論の自由が十分でないということだけではない。中国では王朝が変わるたびに、前の王朝の崩壊と新王朝の成立が必然であったということを証明するのが歴史家の責任だった。中華人民共和国のもとでも、それは同じである。国民党への役割への言及は、その意味でも大変なことだった>

 

<胡錦濤政権が対日関係改善を指向するようになったのは、江沢民前政権の勢力に対して自信をつけたからであった。2006年10月、第16中全大会(共産党大16期中央委員会第4回全体会議)の初日という、通常は首脳会談が開かれるはずのない日程で、安倍・胡錦濤会談が開かれたのは、その証拠であった>

 

胡錦濤・新王朝のいまこそ、日本は中国の歴史カードを塗り替える絶好のチャンスでもあるのだ。

 

<きょう・あす・あさっての開花・見頃の草花>

 

4月29日、昭和の日。カントウタンポポのカーペット(旧岩崎邸)、ウワミズザクラ開花(小山田緑地)。

4月30日、ユキヤナギ開花(秋留台)、フジ見頃(殿ヶ谷戸・旧芝離宮・赤塚)。

5月1日、大安。カイツブリ営巣、冬鳥去る(清澄庭園)、ホウノキ開花(府中の森公園)、ハナミズキ開花(秋留台)。

 

〔フォトタイム〕

 

旧芝離宮庭園その7

JR浜松町駅のすぐ近くに、こんな閑静な庭園が広がっているのです。こんなところにも、東京のふところの深さを感じます。



 

前々から不思議に思っていたことがある。修験者などが、火渡りしているが、どうしてヤケドしないのであろうか。修行を積んだ修験者とて、人間だ。焚き火とか、赤々となった炭火のうえを歩いたら、アツイに決まっている。考えただけで、アッチッチ、という気分になってきた。

 

『行動人』という雑誌の5月号に高野孝子さん(早稲田大学客員助教授)が、「火と命」と題したエッセイを書いていた。そこに火を利用して、アルコールやドラッグから立ち直ろうとする少年たちを預かる更生施設の治療法の一環が紹介されていた。場所は米アリゾナ州ツーソンから1時間半ほど行った砂漠のなか。高野さんは11月初めに、ここを訪れた。

 

まず指導者の男性と施設の少年たちが、高さ1㍍、長さ3㍍ほどに組んだ太い木々に火をつけた。火は燃え上がり、大きなカタマリとなった。ここで火渡りに参加する少年たちや参加者は、「ひどいヤケドや障害が残る危険がともなう行為であることを承知します」という承諾書にサイン。そして火渡りに入る前に、いくつかのプロセスを経験する。

 

たとえば無数のガラスの破片の上を素足で歩く。本物の矢の片側を首のつけ根に当てて、もう一方の片側を分厚い板に当てて、体重をかけて折る、といったことをするのだ。当然、この段階で辞退者が出てくるが、落伍者はそのままにして、指導者は、残った参加者の集中力をどんどん高めていく。

 

「いま、この瞬間に心を集中し、そのときが来たと思ったら、進み出て下さい」と指導者がいい、高野さんも一歩踏み出した。「歩いている間中、意識は覚せいしていましたが、火の上を歩く熱さは、不思議と感じませんでした」と、高野さんは書いている。1年前は、アルコールやドラッグにおぼれていた少年たちが、「怖れを捨てれば、相当のことができるとわかった」、「ハイになるためにアルコールやドラッグは必要ない」と、感想を述べたという。まさに荒療法とはこのことだ。

 

<きょう・あす・あさっての開花・見頃の草花>

 

4月28日、ツルバラ開花(旧古河)、ホウチャクソウ見頃(滝山)、フジ見頃(小石川)。

4月29日、昭和の日。カントウタンポポのカーペット(旧岩崎邸)、ウワミズザクラ開花(小山田緑地)。

4月30日、ユキヤナギ開花(秋留台)、フジ見頃(殿ヶ谷戸・旧芝離宮・赤塚)。

 

〔フォトタイム〕

 

旧芝離宮庭園その6

池の中央に中島があって、中国で仙人が住み、不老不死の地といわれる霊山を模した石組となっています。築山からの眺めはまた格別です。



 

 

ハンカチノキという木があることを知ったのは、ほんの数年前でした。東京・文京区白山にある小石川植物園でみつけたのが、はじめてでした。珍奇な花を咲かせるハンカチノキは、“植物界のパンダ”といわれているそうですが、そんなことも、もちろん初耳でした。

 

小石川植物園というのは、正式には東京大学大学院理学系研究科附属植物園といいますが、そこから刊行された「ハンカチノキ」というパンフレットを参照しながら、“植物界のパンダ”をすこし紹介しましょう。

 

ハンカチノキの自生地は、中国の中部から西南部にかぎられています。中国名は、鳩子樹。日本名は、花弁が長さ15㌢に達して、ハンカチのように純白色になるので、ハンカチノキとつけられたようです。

 

小石川植物園のハンカチノキは4月中旬から咲き始め、1週間ほどで盛りをすぎるそうです。なお、日光植物園のハンカチノキは、5月になって咲き始め、花期がやや長く続くそうです。





 


<きょう・あす・あさっての開花・見頃の草花>

 

4月27日、ナノハナ満開(葛西臨海)、ツツジ開花(浮間・秋留台)、チューリップ見頃(武蔵野中央)。

4月28日、ツルバラ開花(旧古河)、ホウチャクソウ見頃(滝山)、フジ見頃(小石川)。

4月29日、カントウタンポポのカーペット(旧岩崎邸)、ウワミズザクラ開花(小山田緑地)。

 

〔フォトタイム〕

 

旧芝離宮庭園その5

旧芝離宮の池は、約9000平方㍍の広さがあります。昔は、海水を引き入れた潮入りの池でしたが、いまは淡水となっています。中国の杭州にある、西湖の堤を模した石造りの堤です。



 

けさの「産経抄」は、朝日新聞を批判しているが、同感である。一体、朝日に潔(いさぎよ)さとか、品格がなくなったのは、いつからなのだろう。なぜ、素直に誤りを認め、誠意ある態度できちんと対応しないのか。今回の「週刊朝日」の安倍首相叩きも、もし首相が黙っていれば、そのままウヤムヤにしてしまうつもりだったはず。安倍首相に対する、執拗なまでのいやがらせを、以前、ある朝日OBは、「卑しい品性が社内に跋扈しているからだろう」と評した。悪癖が、また露呈したようだ。

 

4月24日付の朝日朝刊に週刊朝日5月4-11日合併増大号の5段広告が載った。その左側に3分の1近く使って、「総力特集 長崎市長射殺事件と安倍首相秘書との『接点』」「城尾容疑者所属の山口組系水心会と背後にある『闇』を警察庁幹部が激白!」と、おどろおどろしいタイトルが並ぶ。これをみた読者の多くは、記事は読まなくとも、不快感を抱いたであろう。記事は真実を伝えていなかった。「産経抄」は、こう断じる。

 

<▼朝日は例によって良心と正義を振りかざし、安倍首相たたきに走る。「週刊朝日」は走りがすぎて、長崎市長銃撃事件の発生と首相秘書のトラブルが関係するような記事を掲載した。あれこれ書いたうえで、「事件の背景はやはり奥深く、いまだ全貌は見えない」とあやふやに結んだ▼実質は1㌻半の記事なのに、広告は銃撃事件と秘書との「接点」を突き、「背後にある『闇』」として政治の関与を印象づける。さすがの安倍首相も、「言論によるテロ。報道ではなく政治運動ではないか」と怒り心頭に発した>

 

週刊朝日の広告には、もつ1つ、安倍首相に関する記事のタイトルがある。いわく、「首相就任200日 安倍晋三『平凡なる総理ライフ』――新橋のサラリーマンより早いご帰宅、夜は『家』にこもってDVD鑑賞…」。その下にある安倍首相の写真は、目をつむっている。

 

4月25日付の朝日朝刊の社会面に、「広告の一部でおわび」という見出しで、山口一臣・週刊朝日編集長の話として、「一部広告の見出しに安倍首相が射殺犯と関係があるかのような不適切な表現がありました。関係者のみなさまにおわびします」という記事が載った。朝日としては、これで十分誠意をみせたつもりだろうが、では電車の中吊り広告については、どうするつもりなのか。

 

「好事魔多し」で、山口編集長は、気がゆるんでいたのだろう。「産経抄」も、<小欄は「週刊朝日」が報じた関西テレビの「あるある大事典」のインチキ掘り起こしを評価するものである。だから、事実なら「がんばれ朝日」だし、あやふやなら「あやまれ朝日」なのだ>と結んでいる。山口編集長は、4月27日号の「編集後記」で、<実は、この4月から毎週月曜と火曜の朝、テレビ朝日のワイドショー「スーパーモーニング」に出演しています。この番組は朝の情報源としては秀逸で、ぼくも欠かさず見ていたのですが、まさか自分が出る側に回るとは」と書いていた。

 

実際、何度か、テレビで山口編集長をみた。決して「卑しい品性」の持ち主とは思えず、むしろさわやかな人という印象をもった。とはいっても、今回の勇み足は、ひどすぎた。この一件には、「あるある大事典」に匹敵するほどの欺瞞性がひそんでいる。次号で、これをどうクリアするのか。こんどは編集長の品性が問われることになる。

 

<きょう・あす・あさっての開花・見頃の草花>

 

4月26日、ヤマブキソウ・キンラン・ギンラン開花(平山城址・浅間山)、ウマノアシガタ開花(小宮)。

4月27日、ナノハナ満開(葛西臨海)、ツツジ開花(浮間・秋留台)、チューリップ見頃(武蔵野中央)。

4月28日、ツルバラ開花(旧古河)、ホウチャクソウ見頃(滝山)、フジ見頃(小石川)。

 

〔フォトタイム〕

 

旧芝離宮庭園その4

旧芝離宮庭園が一般に公開されたのは、大正13(1924)年4月20日でした。総面積は、4万3070平方㍍で、クロマツ、クスノキ、サツキ、タブノキ、ハナショウブ、キキョウ、インドハマユウ、フジ、ツワブキ、ヒガンバナなどがあります。



 

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